松阪牛の肥育技術の研究-第一胃液の性状および反すう-
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概要
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松阪牛の飼養管理技術を検討する目的で,松阪市のW牧場の牛群について導入から出荷までの管理法,松阪と場で採取したと殺直後の第一胃液の性状,第一胃などの消化器の障害,仕上げ期個体の反すうなどについて調査した.管理法は6〜9ヵ月令の黒毛和種,但馬牛雌を導入して25〜32ヵ月間,体重500kgぐらいになるまで能力の似かよった10頭前後の個体を一カ所に収容した群飼で飼育,濃厚飼料としては自家設計の配合飼料と圧ぺん大麦,ふすま,米ぬか,大豆粕などの単味飼料を,粗飼料としては10cm程度に細切した稲わらまたは乾草を不断給餌で給与した.その後更に3〜5ヵ月間600kg前後まで独房に収容し制限給餌で肥育を行う理想肥育方式をとっていた.第一胃液のpHは7.0±0.1,アンモニア濃度は14.2±1.8mg/dl, VFA濃度は7.16±0.61mmoles/dlでと殺前24時間の絶食,水切りの影響を受けたと推測される数値を示し,めん羊で実験してえた24時間絶食,水切りによる数値の変動を調査牛にあてはめて計算してみるとpH5〜6,アンモニア濃度37.0mg/dl, VFA濃度36m moles/dlとなり,酢酸:プロピオン酸の比は2.0以下で肥育牛の値としては良好なものとなった.第一胃液プロトゾア数は調査した57頭の93%は104〜105/mlで,103,106個の個体も若干みられた。プロトゾアの種属構成は3種属以上をもつ個体が90%以上で,Entodinium属だけの個体は少なかったが,内訳では約90%がEntodinium属であった.プロトゾアの数,種属構成などは放牧牛,搾乳牛のそれに近く,肥育牛のそれと異なっていた.ルーメンパラケラトーシスなどの消化器障害は調査した57頭に1例も発見できなかった.1回の反すう持続時間は13〜40分,再咀しゃく時間は36〜75秒,吐出回数は15〜47回でほぼ正常の範囲にあった.第一胃液の性状や反すうなどの機能が生理的範囲から逸脱していないのは,この肥育技術が粗飼料を上手に利用していることを示している.
- 社団法人 日本畜産学会の論文
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