メン羊第一胃内におけるEntodinium属繊毛虫とデンプン利用菌との数量的関係

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第一胃内におけるEntodinium属繊毛虫とデンプン利用菌との数量的関係を明らかにする目的で,二つの濃厚飼料給与方法で飼養したメン羊の第一胃内のEntodinium属繊毛虫数とデンプン利用菌数を測定した.濃厚飼料割合60%の飼料を給与したメン羊の第一胃内Entodinium属繊毛虫とデシプン利用菌の数はメン羊の個体により大きく異なった.また,同一個体においても繊毛虫とデンプン利用菌の数は一定の値で推移せずに増減の周期性が観察された.デンプン利用菌はEntodinium属繊毛虫が多い時には少なく,両者の間には高い負の相関(r=-0.88, p<0.01)が認められた.粗飼料のみの飼料から1日当たり5%ずつ濃厚飼料の割合を漸増してメン羊に給与すると,4頭中3頭においてEntodinium属繊毛虫が増加し,特に濃厚飼料割合を40%から80%に増給した期間に著しく増加したのに対し,デンプン利用菌と乳酸利用菌の増加割合は低いものであった.また,この間の第一胃液pHの低下は小さかった.濃厚飼料割合が95%以上となってpHが約5.0近くになると,Entodinium属繊毛虫は著しく減少し,デンプン利用菌と乳酸利用菌が著しく増加した.これらの結果より,Entodinium属繊毛虫数とデンプン利用菌数との間には負の関係が存在し,デンプン利用に基づいた競合関係が存在すると考えられた.
社団法人日本畜産学会の論文

メン羊第一胃内におけるEntodinium属繊毛虫とデンプン利用菌との数量的関係

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