繊毛虫の存否が羊のルーメン液性状と飼料の利用性に及ぼす影響
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概要
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めん羊のルーメン内繊毛虫の栄養的役割を検討する目的でルーメン内を4日間洗浄することで繊毛虫除去ルーメンを作った.繊毛虫除去期間(D)の後にはEntodinium属繊毛虫を接種(E)し,次にDasytricha rumtinantiumを接種(EDa)した, D, E, EDa期ともルーメンと十二指腸内容物サンプルを集めて飼料消化率を測定した.E期の繊毛虫密度は3×105/mlでその組成はE.nanellum (58%), E. caudatum (24%), E. extiguum (11%), E. uorax (7%)であった.またEDa期のEntodinium属およびD. ruminantium密度はそれぞれ3×105/ml,2×104/mlであった,繊毛虫の定着によって総生菌数は有意に低下した.またデンプン,タンパク質,セルロース利用菌も減少傾向を示したが,乳酸利用菊は増加傾向にあった,藻菌数も繊毛虫の定着によって減少したが有意ではなかった.またE期とEDa期では細菌数に差がなかった.ルーメン総VFA濃度は3期とも差はなかったが,その組成はE期において酢酸比が高くなり,プロピオン酸比が低くなった.またNH3-N濃度は繊毛虫存在時に高かった,DM, ADF, NDFのルーメンおよび下部消化管での消化率は繊毛虫による有意な影響を受けなかったが,繊毛虫不在の方が高い傾向にあり,十二指腸へ流出する細菌態-Nも増加した.これらの結果から今回定着した繊毛虫はルーメン発酵と微生物叢には特異な影響を及ぼすにもかかわらず繊維消化率に影響しないことがわかった.
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