株出し栽培で多くの早期高糖性サトウキビ新品種「Ni22」の育成
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概要
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「Ni22」(旧系統名「KY96-189」)は九州沖縄農業研究センターにおいて育成された,株出し栽培で多収,早期高糖性で12月収穫が可能なサトウキビ新品種である。多収かつ早期高糖の品種を育成することを目標に,早期高糖の特徴を持つ九州沖縄農業研究センター育成系統「KF89-66」を種子親として自然交配を行った。得られた種子から実生を養成し,実生選抜,4回の栄養系選抜,系統適応性検定試験,特性検定試験,奨励品種決定調査を経て育成した。2006年に鹿児島県の奨励品種として採用され,2007年に「さとうきび農林22号」として命名登録された。発芽は「NiF8」と同程度に良く,萌芽は「NiF8」よりも優れる"極良"である。分げつ性「NiF8」よりも優れる"やや強"である。原料茎数は春植えで「NiF8」と同程度かやや多く,株出しでは安定「NiF8」より多い。生育初期から茎の伸長が良く,原料茎長は安定して「NiF8」より長いが,原料茎径は「NiF8」よりも小さく,一茎重は「NiF8」よりも軽い。原料茎重,可製糖量は,春植えで「NiF8」と同程度以上,株出しでは多い。早期高糖性で12月収穫において「NiF8」より高糖で多収,その後の萌芽も良い。南西諸島各地で高糖性を示し,特に株出し栽培において収量性に優れる。「NiF8」の糖度が低い地域,株出し収量が不安定な地域,また,12月収穫を必要とする鹿児島県熊毛地域および奄美地域に普及する見込みである。一方,育成後の2008年には,八重山地域を対象とする沖縄県の奨励品種にも採用された。株出し栽培の充実を目指す同地域においても,普及,活用が進む見込みである。
- 農業技術研究機構九州沖縄農業研究センターの論文
- 2010-11-00
著者
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