サトウキビとエリアンサスとの属間交雑におけるDNAマーカーを用いた雑種判定法の検証
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概要
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九州沖縄農業研究センターさとうきび育種ユニットは,サトウキビとエリアンサスの属間雑種作出に取り組んできた。5SrDNAマーカーによる雑種判定法は既に確立しているが,本報では,属間交雑後代にエリアンサス染色体の一部のみが導入される場合も想定し,より広汎な染色体を検出可能なEaCIR1マーカーを併用して雑種判定を行った。その結果,両マーカーが検出される個体群とEaCIR1マーカーのみが検出される個体群が認められた。前者では肥厚帯消失や生育の弱勢化が認められ,DNA量も両親の中間値を示し,明らかに属間雑種であると考えられた。後者では肥厚帯消失は認められず,生育特性は母本のサトウキビに近い個体が多く,DNA量もサトウキビ経済品種と同程度であった。また,28種のエリアンサス由来プライマーを用いたマーカー解析でも,後者ではエリアンサスに特異的なバンドは検出されなかった。以上から,EaCIR1マーカーは必ずしもエリアンサス属だけに特異的ではないことが示唆された。また,マーカー解析には属間交雑を試みた多数の後代個体を供試したが,一部のプライマーのみでバンドが検出されるような,染色体の部分的導入を示す結果が得られた個体はなかった。このことから,染色体の部分的な導入が生じる可能性は低いか,少なくとも育種上問題となる頻度で生じる現象ではないと考えられた。
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