過敏性腸症候群に対する治療研究の動向(展望)
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概要
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本研究の目的は,過敏性腸症候群(lrritable Bowel Syndrome;IBSと略す)に関して過去12年間(1985〜96年)の治療研究の動向を展望することにより,IBSに対する治療の現状の把握および心理療法の効果の検討を行うことであった.文献検索の結果,欧米では66件,本邦では9件の治療研究が見出された.主な結果は以下の通りであった.(1)欧米における66件の治療研究は,3つに大別された(薬物療法,食事療法,心理療法).(2)心理療法は認知行動療法(Cognitive Behavior Therapy;CBTと略す),リラクセーション法,認知療法,腸音バイオフィードバック,催眠療法を含んでいた.(3)腸音バイオフィードバックを除く全ての心理療法は統制条件よりも優れていた.(4)CBTあるいは薬物療法と短期力動的精神療法とを組み合わせた治療法の効果は,少なくとも薬物療法と同程度であった.(5)認知療法のみがプラセボ統制条件よりも効果のあることが示された.(6)本邦においては特定の心理療法が多用されてはいなかったが,社会的不適応を伴ったIBS患者に対しては,特に不安に対する行動的技法が適用されていた.最後に,IBSに対する効果的な治療方法を確立していくためには,本邦においても統制研究を行っていく必要性が指摘された.
- 日本行動療法学会の論文
- 1998-03-31
著者
-
松本 聰子
鹿児島大学医学部附属病院臨床心理室
-
坂野 雄二
早稲田大学
-
佐藤 健二
早稲田大学
-
志村 翠
九州大学医学部心療内科
-
横井 美環
株式会社フォーサイト
-
吉永 美穂
戸田病院
-
松本 聰子
鹿児島大学医学部付属病院臨床心理室
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