保育記録による発達尺度(NDSC)の構成概念妥当性 : 尺度構造の検討と月齢および不適応問題との関連
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概要
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本研究では.保育士が日常の保育業務の中で作成する「保育の記録」を心理学的・精神医学的観点から体系化した「保育記録による発達尺度(NDSC)」(中島ほか,2010)の構成概念妥当性について検証を行った。4年間にわたる単一市内全園調査によって,年少から年長まで,延べ9,074名の園児についてのデータを得た。主成分分析を行ったところ,9つの下位尺度が見出され,いずれも十分な内的整合性を持つことが示された。9尺度のうち,「落ち着き」,「注意力」,「社会性」,「順応性」の4尺度は月齢との関連が弱く,子どもの行動的・情緒的問題のスクリーニングツールであるStrengths and Difficulties Questionnaire(SDQ)との関連が強いことから,生来の発達障害様特性や不適切な養育環境による不適応問題を反映する尺度であることが示唆された。逆に,「好奇心」,「身辺自立」,「微細運動」,「粗大運動」の4尺度は,月齢との関連が強く,SDQとの関連が弱いことから,子どもの適応行動の発達状況を反映する尺度であることが示唆された。このようなバランスのとれた下位尺度構成によって,NDSCは,配慮が必要な子どもの検出と早期対処を実現するとともに,現在の子どもの発達状況に適合した保育計画の策定に貢献するツールとして有効性を発揮することが期待される。
- 2013-06-20
著者
-
藤田 知加子
浜松医科大学
-
辻井 正次
中京大学
-
辻井 正次
聖徳学園岐阜教育大学
-
辻井 正次
中京大学現代社会学部
-
藤田 知加子
愛知文教女子短期大学
-
辻井 正次
名古屋大学 発達心理精神科学教育研究センター
-
大西 将史
浜松医科大学子どものこころの発達研究センター
-
中島 俊思
浜松医科大学子どものこころの発達研究センター
-
望月 直人
浜松医科大学子どものこころの発達研究センター
-
辻井 正次
名古屋大学大学院教育学研究科
-
藤田 知加子
南山大学人文学部
-
大西 将史
福井大学教育地域科学部
-
岡田 涼
香川大学教育学部
-
瀬野 由衣
愛知県立大学教育福祉学部
-
伊藤 大幸
浜松医科大学子どものこころの発達研究センター
-
高柳 伸哉
浜松医科大学子どものこころの発達研究センター
-
大嶽 さと子
浜松医科大学子どものこころの発達研究センター
-
中島 俊思
浜松医科大学
-
伊藤 大幸
浜松医科大学
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