「払込資本と留保利益の区分原則」に関する一考察
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概要
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本稿では、「払込資本と留保利益の区別原則」の意義..について会計サイドから再考し、会計上の意義を再確認している。会計の使命は、利益を決定すること、利益の分配計算すること、そしてそれらを伝達すること(情報開示すること)にある。ここで利益を決定するには、損益取引と資本取引の区別を明確にしていなければ算出することはできない。また、利益の分配についても、それが会社法のテーマであるとしても獲得した利益による分配(配当)でなければ、資本(払込み額)の食い潰しとなるばかりか、過去の利益の蓄積状況も明らかにされないことになる。こうした当該区別原則の論理は、これまでも会計サイドから主張されてきたことではあるが、これからも会計の基本原則として存在し続けることには変わりはない。たとえ、会社法による純資産の部がどのように変化をしても、である。当該区別原則を有効とするためには、会社法の剰余金分配の規定とは係わりなくあくまでも会計基準についてではあるが、株主資本の部の分配財源に関する源泉区別を明確にし、表示区分と分配可能財源とが一致するような会計基準を考えることにある。そしてそうすることが当該区別原則の意義を見出す答えとなるように思われる。
著者
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