現在価値測定序論
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概要
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本稿の目的は、現在価値測定を検討するための序論として、これまでの現在価値測定の意義、目的及びそれにかかる議論を整理することにある。とりわけ、測定に大きく影響を及ぼす"利子率"について、その考察を行うが、現在価値測定における利子率の適用は、個々の会計事象ごとに異なり一様ではない。このため、本稿では、個々の課題については別稿に譲ることとし、ここでは全体像を述べるに留める。現在価値とは、将来の見積キャッシュ・フローの現在における測定値であり、現在と見積キャッシュ・フローとの間の期間(時間)をある一定の利子率により割引、求めれれる測定値である。会計測定に現在価値が用いられているのは、測定値に貨幣の時間的価値やリスクを織り込むためである。何故、測定値に時間的価値やリスクを織り込む必要があるのか。それは現代企業が高度に発展し、それに伴って出現した多様な取引が、企業会計に、現在(及び過去)の取引・事象から将来の価値流入(流出)を予測する情報や企業評価に関する情報までも提供することを要求したからにほかならない。現在価値測定には、それを支持する議論、また根強い批判も指摘されるが、批判の多くは、測定値の不確実性にある。このため、"測定値の不確実性"にどのように対処すべきかが問われることとなるが、かかる問題は、リスク認識、見積もられるキャッシュ・フローの信頼性、また割引く際に適用される利子率の選択の問題に集約される。とりわけ、利子率はその選択において測定値のおおきさを左右することから重要である。測定値の不確実性が解消され、企業の姿をより真実なものとして映し出すためには、測定実体の属性とそれを適切に表す利子率の研究が一層求められる。
- 摂南大学の論文
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