債券の保有目的区分変更に関する一考察
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概要
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本稿ではASBJが公表した"債券の保有目的区分の変更に関する当面の取扱い"について、それを批判する見解、また支持する見解を整理し、会計の目的、役割という視点からこの取扱いについての議論をしている。会計の目的、役割を再考してみれば、それは企業の"ありのままの姿"を映しだすことであり、そうした情報を提供することにある。そこでは現在の姿ばかりでなく将来の企業の姿をも映しだすことが要求される。しかしながら、今回の実務対応報告にて"実態が何も変わらないのに会計基準の変更により損失を一時的に先送りする"ことが可能となった。これは"ご都合主義である"と指摘されるが、今回の措置を会計の純粋な問題と考えるより、1つには欧米の会計基準に合わせるという国際的な会計基準との整合性から、また1つは、当方もない企業業績の落ち込みによる企業救済という"政策上の必要性"からの判断であるとすれば、日本経済新聞の社説がいう"理外の理"と考えるほかはないようである。
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