国際観測プロジェクト"Jupiter Project"の実施とその期待される教育効果
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概要
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天文分野の学習においては,興味を持つ学習者が多い一方で実体感をもった学習展開が難しいと指摘されてきた。2000年に国際的な木星観測プロジェクトを6カ国共同で企画し,木星の衛星の動きが地球の昼夜に関係なく連続的に分かるような画像取得を試みた。従来の通信方式では不可能であった国際プロジェクトがコンピュータネットワークの利用によって比較的容易に実現できた。また,今回のプロジェクトより観測方法や教材提供の課題も明らかになった。本プロジェクトが目指す教材開発の有効性を明らかにするため撮影された木星衛星の画像の一部を利用してケプラーの法則の学習を行った。従来のケプラーの法則の学習では,火星など惑星の動きについての位置情報をもとに惑星軌道を作図し,作図された結果からケプラーの法則が成り立つことを確認していた。しかし学習者にとっては惑星の位置情報と実際に観測するという感覚に隔たりがあった。そこで,木星衛星を題材とすることで,視覚的にわかりやすい画像からの解析が可能となる。大学生を対象にした教材の評価実験より,以下のことがわかった。(1)「木星の衛星の動き」の実習は,ケプラーの法則の理解に役立つ教材である。(2)より長時間の連続データの方が正しい結果を導き,学習意欲を促進させる可能性がある。(3)Web上の画像を教育活動で使用するには,適切な構成で利用しやすい様に留意する。
- 日本理科教育学会の論文
- 2002-06-17
著者
-
古荘 玲子
国立天文台
-
古荘 玲子
国立天文台天文学データ解析計算センター
-
古荘 玲子
科学技術振興事業団
-
縣 秀彦
国立天文台
-
松本 直記
慶應義塾高等学校地学教室
-
松本 直記
慶應義塾高等学校
-
古庄 玲子
早稲田大学教育学部
-
松本 直記
慶應義塾高校
-
古荘 玲子
神戸大・自然
-
古荘 玲子
都留文科大学:国立天文台
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