テレビ電話対応携帯電話による生命保険面接士業務
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概要
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テレビ電話対応携帯電話による生命保険面接士業務(以後,遠隔面接と略す)と従来型の生命保険面接士業務(以後,訪問面接と略す)を比較検討した。今回検討の対象としたのは,2003年1月から2006年4月までの期間に行われた面接のうちデータの完備していた遠隔面接1,809件と訪問面接3,018件である。告知の出現率は遠隔面接士扱い35.9%に対して訪問面接扱い29.0%であり,外観の観察による有所見率は遠隔面接扱い12.2%に対して訪問面接扱い5.7%と共に遠隔面接扱いのほうが高く良好な状況であった。遠隔面接扱いは面接士が本社契約審査部門に駐在して面接を行い,査定担当や医長に随時相談できる教育効果や告知技術の習得に有利である点,さらにいつも同じ環境で落ち着いて面接できることなどが,告知出現率や外観の観察による有所見率の高値に役立っているものと考えられた。遠隔面接は画面の制約から顔色の確認が多少劣るものの,それ以外は本人確認は同等,身体障害状態,歩行状態,小指の欠損,言語機能,意思疎通,知的障害の確認,告知の確認などは遠隔面接が良好と考えられた。また,利便性,機動性,中立性についても,同時期に実施された訪問面接の状況と比較して良好であった。遠隔面接は交通費は不要であるが,訪問面接には不要な電話機をはじめとする機器の購入費と通信費がかかる。費用面では訪問面接のほうが1件あたりの費用は少なく実施できた。しかし,交通費のかかる遠隔地の面接が遠隔面接扱いで施行されたための訪問面接交通費のみかけの低廉化,今後の通信費の低廉化,移動時間の発生しない遠隔面接のほうが,少ない人数で広い地域と多件数の面接をカバーできるために,面接士の研修費用など面接士管理費用等が少なくて済む点など考慮すると,総合的な費用面では遠隔面接が良好となる可能性があるものと考えられた。
- 日本保険医学会の論文
- 2007-06-17
著者
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