接種伝貧馬における血清乳酸脱水素酵素について

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臨床酵素化学分野における血清乳酸脱水素酵素(LDH)は,一般に腫瘍性および白血病性疾患で増加するとされているが,馬伝染性貧血(伝貧)においても同様の変化があるか否かを知りたく思い,病毒接種伝貧馬5例について病勢の推移に伴う血清,および臓器のLDH活性とLDH isozymesをそれぞれ測定した。さらに,トヨマイシン・コルソン・ナイトロミンなどの治療によるLDHの変動を観察し,次のような成績を得た。1)血清LDH活性は接種後しだいに増加し,20日前後における発熱時に初回のピークを認め,次回のピーク(30〜40日)で最高に達し,その活性は接種前の約2〜3倍以上に増加した。2)心,肝,腎,脾,肺およびリンパ節などの各臓器のLDH活性は正常馬と比較して差は認められなかった。3)各臓器および赤血球などにおけるそれぞれのisozymesパターンは,正常馬と比較してほとんど差は認められなかった。1例の接種伝貧馬の血清LDH isozymesの変動は接種後40日以内においてLD_3が最も著しく,ついでLD_2とLD_4で,LD_1とLD_5の変動はほとんど認められなかった。このLD_3は,81日目において接種前の約2倍を示し,さらにLD_2は約5倍に増加した。これらの増加が血清LDH活性の上昇をきたしているものと考える。4)トヨマイシン・コルソン・ナイトロミンなどの治療により,LDH活性の増加抑制効果を認めた。しかし投与終了後,増加傾向を示した。
帯広畜産大学の論文
1969-02-10

接種伝貧馬における血清乳酸脱水素酵素について

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