外分泌性膵臓機能不全の診断に関する研究 : 血中および糞便中のキモトリプシン活性について

概要

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BT-BABA-Testは,キモトリプシンが基質であるN-benzoyzl-L-tyrosyl-p-aminobenzoic acid (BT-PABA)のペプチド結合を特異的に分解することに着目して,分解後小腸から吸収され,肝臓で抱合を受け,腎臓から尿中へ排泄されたPABA量を測定することにより,間接的に生体におけるキモトリプシン活性を測定するものである。この方法は,ヒトにおいて外分泌性膵臓機能不全(exocrine pancreatic insufficiency,EPI)を診断するのに利用されている。また,糞便中のキモトリプシン活性測定検査(Monotest Chymotrypsin)も,ヒトにおいて慢性膵炎に起因するEPIのスクリーニングやその経過観察に用いられている。そこで,家畜においてもEPIのスクリーニングテストとしての診断的意義の検討要望される。ミュンヘン大学家畜病院で慢性下痢症およびEPIと診断されたイヌについて,血中PABA量(BT-PABA-Test〔A〕と〔B〕)と糞便中のキモトリプシン活性(Monotest Chymotrypsin)を測定し,診断と測定値の関係を比較検討した。さらに,実験的にラットのエチオニン膵臓障害を作成し,血中PABA量と糞便中キモトリプシン活性を測定した。また,病理組織学的にも検討した。1.BT-PABA-Test(〔A〕と〔B〕)では,EPIのイヌは慢性下痢症のイヌに比較して低い血中PABA量を示した。BT-PABA-Testでの血中PABA量の測定が可能になった。2.BT-PABA-Test〔A〕と〔B〕の成績には,差が認められなかった。簡便な方法であるBT-PABA-Test〔B〕の検査が可能となった。3.EPIのイヌの糞便中キモトリプシン活性は,全例(20例)1U/g feces以下であった。慢性下痢症のイヌ(174例)において,1U/g feces以下の例は16例であった。4.エチオニンを腹腔内投与したラットにおいて,血中PABA量(BT-PABA Test〔B〕)および糞便中キモトリプシン活性は経時的に減少した。メチオニン投与群およびメチオニン・エチオニン投与群では,実験期間中有意な変化が見られなかった。5.4におけるBT-PABA-TestとMonotest Chymotrypsinの結果の間に,正の相関(r=0.701,n=25,p<0.001)が認められた。6.エチオニン投与群の膵臓の光顕像において,投与3週間以後全例(10例)に空胞化と腺房細胞の萎縮が観察された。
帯広畜産大学の論文
1986-11-30

外分泌性膵臓機能不全の診断に関する研究 : 血中および糞便中のキモトリプシン活性について

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