水稲における日中品種間交雑による後代系統の収量及び食味特性
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概要
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本試験は,中国華北地域に適した良食味品種を育成するために,日中品種間交雑のF_7系統における特性を調査したものである.得られた結果の概要は以下のように要約される.1.出穂迄日数の短い系統ほどタンパク質含有率が高い傾向にあり,キヌヒカリを母本とする系統群ではその傾向が顕著であった.2.出穂迄日数と食味特性との間にはそれぞれ有意な相関関係が認められ,特に白米のタンパク質含有率とは強い負の相関を示した.3.登熟期の積算気温,積算日射量と白米のタンパク質含有率との間に正,白米のアミロース含有率との間に負のそれぞれ有意な負の相関関係が認められた.4.食味評点は,玄米と白米にかかわらず,タンパク質含有率とは強い負の相関を示したが,アミロース含有率との間に有意な相関関係は認められなかった.したがって,良食味系統の選抜には,アミロース含有率よりもタンパク質含有率を重視すべきと判断された.ただし,タンパク質含有率と出穂迄日数との間には強い負の相関関係が存在するため,実際の選抜に際しては,出穂期の影響を除いた補正タンパク質含有率を用いることが適切であると考えられた.5.本試験で使用した食味計は,アミロース含有率の測定において正確性に欠けると判断された.したがって,良食味系統の選抜を効率的かつ効果的に進めていくためには,初期世代では正確性には劣るが簡便に測定できる食味計で選抜を行い,後期世代ではオートアナライザーやインフラライザーによって正確な食味評価をするのが望ましいと考えられた.6.白米のタンパク質含有率は,出穂期の葉色と密接な正の相関を示した.このため,出穂期の葉色は,タンパク質含有率の低い系統を選抜していくための間接的な指標として利用できると判断された.7.収量及び食味評点は,穂数,1穂籾数,全籾数などのシンク側の要因に強く規制されていた.また,登熟歩合は食味評点と有意な正の相関を示したが,タンパク質含有率との間に有意な相関関係は認められなかった.したがって,これらに関しては今後,さらに年次を重ねて詳しく検討していく必要があると思われる.
著者
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諸隈 正裕
香川大学農学部
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豊田 正範
香川大学農学部
-
楠谷 彰人
香川大学農学部
-
辺 嘉賓
愛媛大学大学院連合農学研究科
-
塩津 文隆
東京大学大学院農学生命科学研究科
-
塩津 文隆
愛媛大学大学院連合農学研究科
-
劉 建
愛媛大学大学院連合農学研究科
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諸隈 正裕
香川大学農学部附属農場
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辺 嘉賓
香川大学農学部
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多田 宏樹
香川大学農学部
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