コムギにおける収量の品種間差の発現機構に関する研究 : 収量構成要素

概要

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コムギの多収性育種に関する基礎的知見を得るために,国内外50の品種を供試して収量や収量構成要素を比較し,それらの相互関係について検討した.1.出穂期は,品種間に4月8日から4月26日まで最大18日の差がみられた.収量は,最高が743g,最低が310gで,その変異係数(CV)は19.1%であった.総粒数のCVは20.9%,1000粒重と整粒歩合のCVは,それぞれ11.2%,10.9%であった.2.収量を最も強く規制していたのは総粒数で,両者の間に有意な正の相関が認められた.収量構成要素間の関係においては,唯一総粒数と1000粒重との間にのみ有意な負の相関が認められた.3.総粒数は,穂数および1穂粒数とそれぞれ有意な正の相関を示したが,1穂粒数との関係の方が強かった.1穂粒数は,1小穂粒数と有意な正の相関を示した.4.出穂期と収量との間には有意な負の相関が存在し,本試験の場合,早生品種の方が多収を示した.出穂期と総粒数および1穂粒数との間には,有意な負の相関が認められた.また,出穂期は1穂小穂数と正,1小穂粒数と負の,それぞれ有意な相関を示した.5.以上より,収量の品種間差は,晩生品種→1小穂粒数少→1穂粒数少→総粒数少→低収,という経路によってもたらされたと判断された.
2000-12-25