小穂分化期の遮光と窒素追肥がコムギの小穂と小花の分化および発育に及ぼす影響

概要

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小穂分化期間中の遮光処理と二重隆起期の窒素追肥がコムギの小穂と小花の分化および発育に及ぼす影響について,二重隆起期から頂端小穂分化期の6日後までにおける幼穂の走査型電子顕微鏡観察により調査した.窒素追肥は小穂の分化期間と分化速度に影響せず,このため小穂数は変化しなかった.また,窒素追肥は小花の分化や発育を促進させたが,成熟期における一穂粒重は,一穂粒数と一粒重が減少したことにより低下した.このことから,二重隆起期における窒素追肥は小穂数に影響を及ぼすには時期的に遅いこと,また小花の分化や発育を促進させる一方で,個体内や個体間での窒素の競合や相互遮蔽を引き起こし,結果的に一穂粒重を低下させたと考えられた.一方,遮光処理は小穂分化速度を低下させたため,小穂数は有意に減少した.また,小花の分化および発育も遮光処理により低下した.頂端小穂分化期における非構造性炭水化物含量が低かったことから,同化産物量の低下が小穂や小花の分化と発育を遅延させた一因であると推察された.
日本作物学会の論文
2001-12-05