CO_2濃度上昇と温暖化が水稲の生育及び収量に及ぼす影響
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概要
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自然光, 屋外気温追従型の人工気象室を用いて, 水稲の生育および収量に対するCO_2濃度と気温の複合処理の影響について検討した. また, 同条件下において根圏サイズの違い(水槽植物とポット植物)が水稲の乾物生産及び収量に及ぼす影響について検討した. 気象室内のCO_2濃度を400ppm (400NT区), 660ppm (660HT区)及び1200 ppm (1200HT区)の3処理とし, 660HT区と1200HT区の室温は屋外気温+2℃とした. 気象室内には模擬水田を設置し, 群落状態で栽培した. 葉面積指数を処理区間で比較すると, 最高分げつ期にはいずれも高CO_2・高温区で高く, 顕著な生育の促進が認められたが, 出穂期には差はみられなかった. 全乾物重を比較すると, 660HT区では両ステージとも約30%の乾物増が認められた. 一方1200HT区では, 最高分げつ期には660HT区以上の乾物重増加が認められたものの出穂期には促進率が大幅に低下した. また, 高CO_2・高温区ほど葉身への乾物分配率が低く, さらに生育が経過するほど葉身の窒素含有率が低くなる傾向がみられ, 特に1200HT区で顕著であった. また1200HT区では, 高温による不稔のため収量が著しく低下した. 水槽植物の乾物重はポット植物の約1.8倍であったが, 処理区による違いはみられなかった. 以上の結果をもとに, 将来予想される気候条件下での水稲の生産過程への影響について検討した.
- 日本作物学会の論文
- 1996-06-05
著者
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