A-SMA(Automated Segmental Motion Analysis)法を用いた虚血性心疾患の診断

概要

論文の詳細を見る
近年心エコー図法において血液と心臓構造物との境界を自動認識するシステムが実用化され,本研究ではこの原理に基づいて,局所壁運動を客観的に評価するA-SMA(Automated segmental motion analysis)法を用いてエルゴメータ運動負荷心エコー図法施行時に,局所的な心筋虚血の定量的評価,有用性を検討した.対象は健康成人40例,狭心症25例,陳旧性心筋梗塞60例である.収縮性の指標としてFAC(fractionalarea change),PER(peak ejection rate),t-PERc(time to PER correct)を,拡張性の指標としてPFR(peak filling rate),t-PFRc(time to PFR correct),を用いた.狭心症例ではFAC,PERは非虚血部で有意に増大し,t-PERcは有意に短縮したが,虚血部では不変であった.PFRは非虚血部では有意に増大し,虚血部では軽度有意に増大した.t-PFRcは非虚血部では有意に短縮し,虚血部では有意に延長した.以上の結果よりエルゴメータ運動負荷心エコー図法において今までは左室の定量的壁運動評価は左室全体でしか評価できなかったが本研究では以上のごとく領域別に,しかもオンラインで評価可能であり再現性も高く,心筋虚血の定量的評価を行うことが可能であると結論された.
2006-06-25