不安定狭心症の発症病態と冠動脈責任病変形態

概要

論文の詳細を見る
不安定狭心症は,責任病変の粥腫破綻を契機に血栓形成が関与し発症することから,責任病変の破綻形態により,不安定狭心症の発症病態に差が生じることが予測できる.本研究では,不安定狭心症の発症病態を新規発症型と症状増悪型の2群に分け,血管内視鏡と血管内超音波を用い責任病変の形態を観察し,発症病態との関係を検討した.対象は,冠インターペンション前に血管内視鏡で責任病変を観察した不安定狭心症患者34例で新規発症型が17例,症状増悪型が17例であった.新規発症型は症状増悪型に比べ,プラーク破裂例が多く(47%:12%,p<0.05),プラーク色調が黄色を呈する症例が多かった(53%:12%,p<0.05).また,新規発症型,症状増悪型ともにプラーク破裂例は10例全例に血栓が存在し,10例中9例に黄色プラークを認めた.一方,プラーク非破裂例でも24例中8例に血栓を認めたが,黄色プラークは24例中2例のみで,プラークびらんの存在が示唆された.新規発症型の不安定狭心症は,線維性被膜が薄く,脂質に富んだ易破裂性をもった黄色プラークが破裂することにより,黄色プラーク内の組織因子などが強力に血栓を形成し発症すると考えられ,症状増悪型の不安定狭心症に比べて急性心筋梗塞に近い病態であり,心筋梗塞に移行する危険性も高い.以上の結果から,不安定狭心症の発症病態は責任病変形態と強く関係するものと思われる.
近畿大学の論文
2003-12-25

不安定狭心症の発症病態と冠動脈責任病変形態

スポンサーリンク

概要

著者

関連論文

スポンサーリンク