陳旧性心筋梗塞における硝酸薬の高用量長期投与による心事故増大

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陳旧性心筋梗塞に対する硝酸薬長期投与はその予後に及ぼす効果が十分に解明されないまま臨床応用されている.本研究では,1986年以降,当院に通院又は入院した陳旧性心筋梗塞患者1608例のうち経皮的冠動脈形成術の治療が確立され,投薬内容に現在使用されている循環器病治療薬が広く使用されるようになった1990年1月から1999年!月までの1262例を対象とし,硝酸薬治療の有無と硝酸薬治療方法の違いによる心筋梗塞二次予防への影響を調査検討した.平均観察期間は13.5±15.1ケ月で,エンドポイントは心事故とした.硝酸薬投与群の心事故発生率は5.5%と硝酸薬非投与群2.6%に対し増加していた(p<0.01).硝酸薬剤型別では,経口群4.9%及び非投与群2.6%に比較し併用群で11.9%と増加していた(それぞれp<0.05,p<0.01).経口群では非投与群と比較し増加していた(p<0.05).硝酸薬非投与群,経口群を用量別にみると心事故発生は硝酸薬非投与群2.6%及び経口剤のうち1日40mg以下の低用量群3.0%に対して,1日60mg以上の高用量群で14.3%と増加していた(それぞれp<0.01).以上から,陳旧性心筋梗塞例では,硝酸薬の併用及び高用量投与により心事故発生率が増加していた.その一因として硝酸薬連用による耐性獲得後のリバウンド現象,血管収縮性物質による冠動脈の反応増強,神経体液性効果などの関与が推察された.
近畿大学の論文
2003-10-25

陳旧性心筋梗塞における硝酸薬の高用量長期投与による心事故増大

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