孤立林分に生息するニホンカモシカ(Capricornis crispus) : その生態研究と野生動物医学研究(<特集>稀少野生動物の生態と繁殖,第12回日本野生動物医学会大会・岐阜大学21世紀COEプログラム国際シンポジウム)
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概要
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本研究の目的は,ニホンカモシカの個体群管理方法の開発と現状の把握である。岩手大学農学部附属寒冷フィールド教育研究センター滝沢演習林は,盛岡市郊外の孤立した森林である。1980年代には,8〜27頭のニホンカモシカが生息していたが,現在,新駅の建設などによって森林の周辺環境が変化している。したがって,ニホンカモシカの遺伝的背景と生息環境もまた変化していると思われる。本研究では,滝沢演習林に生息しているニホンカモシカの野生動物医学(血液型,DNA個体識別,寄生虫)と生態(生息頭数,食性,縄張りと行動)について研究した。その結果7頭を確認し,そのうちの1頭の捕獲に成功した。その1頭は,2歳まで母親と10haの縄張りで生活し,その後,母親の縄張りから2km離れたところで自分の縄張りを獲得した。盛岡市近郊に生息しているニホンカモシカの血清タンパク多型,特に血清アルブミンは2つの多型,およびトランスフェリンには6つの多型が観察された。糞から回収したDNAはPCRで増幅され,200〜300bpの範囲に,雌で1つのバンド(アメロゲニン遺伝子XX)と雄で3つのバンド(アメロゲニン遺伝子XY)が確認された。結局,この方法を使用した糞からの雌雄鑑別法の確率は95%であった。この方法は,ため糞を使用する雌雄鑑別法に効果的であることが示唆された。また,これらのニホンカモシカには多くの寄生虫が観察された。野生動物医学研究は,多くの研究者の協力によって続けなければならない。
著者
-
岡田 幸助
岩手大学農学部獣医学科獣医病理学研究室
-
出口 善隆
岩手大学農学部
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山内 貴義
岩手県環境保健研究センター
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辻本 恒徳
盛岡市動物公園
-
岡田 幸助
岐阜大学大学院連合獣医学研究科岩手大学
-
松原 和衛
岩手大学農学部
-
西村 貴志
岩手大学農学部
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青木 美樹子
岩手大学農学部
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青井 俊樹
岩手大学農学部
-
平野 紀夫
岩手大学農学部
-
青井 俊樹
岩手県立大学農学部
-
岡田 幸助
岩手大学
-
岡田 幸助
岩手大学農学部
-
出口 善隆
岩手大農
-
青井 俊樹
南ステーション
-
青井 俊樹
北海道大学農学部附属演習林和歌山地方演習林
-
出口 善隆
東北大学大学院農学研究科陸圏修復生態学
-
Aoi T
Iwate Univ. Morioka Jpn
-
Aoi Toshiki
Department Of Environmental Sciences Faculty Of Agriculture Iwate University
-
松原 和衛
岩手大学大学院連合農学研究科
-
松原 和衛
岩手大学
-
松原 和衛
岩手大学農学部動物医科学系
-
出口 善隆
岩手大学大学院連合農学研究科
-
青井 俊樹
岩手大学農学部共生環境課程
-
Aoi T
Hokkaido Univ. Wakayama Jpn
-
Aoi Toshiki
Faculty Of Agriculture Iwate University
-
YAMAUCHI Kiyoshi
Research Institute for Environmental Sciences and Public Health of Iwate Prefecture
-
青井 俊樹
北海道大学天塩地方演習林
-
松原 和衛
岩手大学大学院 連合農学研究科
-
Matsubara Kazuei
Department Of Animal Science Faculty Of Agriculture Iwate University
-
松原 和衛
岩手大学大学院農学研究科
-
Aoi Toshiki
Iwate Univ. Iwate Jpn
-
Nishimura Takashi
Department Of Animal Science Faculty Of Agriculture Iwate University
-
Matsubara Kazuei
Graduate School Of Agriculture Iwate University
-
Aoi Toshiki
Department Of Environmental Sciences For Sustainability Iwate University
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