『坑夫』論 : 片付かない不安
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概要
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『坑夫』は、主人公が北へ北へとめざす坑夫になるまでの前半部と、銅山に着いてから坑夫としての生活を体験する坑内での後半部とでは、その運動の方向性だけでは語りつくせない、漱石の作家としての二極を見ることができる。前半は「〓徊」という立場で主人公の意識を追うことに全神経を集中している。しかし、後半で「シキ」という現実の生と死が向き合う世界に身をおいてからは、文学理論家としての漱石ではなく、生の暗部を追う作家漱石の鋭い目が見開かれ、「生涯片付かない不安の中を歩いて行くんだ」という「片付かない不安」の中を生きる人間を描くことになる。
- 九州女子大学・九州女子短期大学の論文
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