DV被害者の回復過程における心象環境の変化と看護課題
スポンサーリンク
概要
- 論文の詳細を見る
本研究の目的は、支援者が有効な被害者支援を行うために、DV被害者が直面する様々な困難を支援者の語りから明確にし、被害者支援における課題について明らかにするである。研究方法は、DV被害者支援を行っている女性20名にインタビューを行い、KJ法で分析した。結果、回答者の平均年齢は50.0歳(35〜68歳)、平均支援年数8.6年(1年〜30年)であった。支援者の感情体験への気づきを促すことで、感情を識別しその意味と背景にある事象や環境を把握できる。そのためには支援における自己一致が重要であることが得られた。また、DV被害の回復過程は、「混乱期」「苦悩・否認期」「転換・消耗期」「停滞期」「回復・安定期」に分類された。そして、看護職が担うべき役割は、傾聴や共感をともなう看護ケアとその評価および修正をおこない、DV被害者が対等な人間関係を看護者との関係の中で再構築する機会を提供することであった。課題としては,改正DV法に関する内容の周知とさらなる法制度の充実をはかること,および医療者が患者の暴力被害に気付いても他機関につなぐ情報や時間的余裕を持たない組織全体の構造的課題,そしてDV被害者への支援方法の整備等が示唆された。
- 青森県立保健大学の論文
- 2006-06-30
著者
-
山田 典子
青森県立保健大学
-
山本 春江
青森県立保健大学健康科学部看護学科
-
宮本 真巳
東京医科歯科大学大学院
-
米山 奈奈子
秋田大学
-
米山 奈奈子
秋田大学医学部保健学科
-
工藤 奈織美
青森県立保健大学健康科学部看護学科
-
山本 春江
青森市健康づくり推進課
-
山本 春江
東京大学 大学院医学系研究科
-
山本 春江
青森市 健康福祉部
-
工藤 奈織美
自治医科大学看護学部
-
山本 春江
青森県立保健大学
-
山本 春江
青森県立保健大学 健康科学部看護学科
-
米山 奈奈子
中野北保健所
-
米山 奈奈子
秋田大学 医学部保健学科
-
米山 奈奈子
秋田大学大学院医学系研究科保健学専攻臨床看護学講座精神看護学分野
-
宮本 真巳
東京医科歯科大学 保健衛生学科精神看護学
-
宮本 真己
東京医科歯科大学大学院
-
宮本 真巳
国立精神・神経センター武蔵病院
-
米山 奈奈子
秋田大学大学院医学系研究科保健学専攻
関連論文
- 高校生のDating violenceの特性と課題
- 法看護学を活用した性に関する健康課題への看護介入 : ケニア国の性暴力被害者に対する医療とケアに関するガイドラインからの学び
- 書見台 メアリー・ベス・ウィリアムズ、ソイリ・ポイユラ著 グループ・ウィズネス訳『心とからだと魂の癒し トラウマから恢復するためのPTSDワークブック--大切な存在であるあなたへ』
- 日本における法看護学教育カリキュラムの検討(ポスター発表,青森から発信する保健・医療・福祉実践のためのエビデンス,2008年度青森県保健医療福祉研究発表会抄録)
- 日本における法看護学教育カリキュラムの検討
- セーフティプロモーション活動からの交通問題へのアプローチ(Part 2)地域居住者によるグループインタビューからわかったこと
- 黎明期のセーフティプロモーション(SP)活動に見られる住民間の目的意識形成の成因解明(Part 1)
- 教員が考える在宅看護実習前に学生に身につけさせたい実習態度 : 青森県看護教育研究会地域看護学グループの取り組み
- 高校生のデートDVの実態調査結果について : 青森県の場合(一般セッション 医学)
- 5. 被害者支援のための法看護学教育プログラムの検討(口述発表I-1,保健・医療・福祉サービスの充実のために,2007年度青森県保健医療福祉研究発表会抄録)
- 暴力や虐待の被害を繰り返さないために必要な 日本における法看護学教育の検討
- DV被害者早期発見看護観察チェックリストの検討
- 法看護学はなぜ必要か?--被害者の声なき叫びを聞き逃さないために
- 女性の健康被害を拡大する伝統社会における看護の社会的役割 : エジプト国カイロ大学看護学部の実践より
- 健康科学教育センター国際科の発展途上国における地域交流の現状 : 国際交流事業の教育的意義の検討
- HIV/AIDSと親密なパートナーに対する暴力防止に関する研究 : ケニア国の自発的カウンセリングおよびテスト(VCT)の知見より
- DV被害者の回復過程における心象環境の変化と看護課題
- フォーカス セーフティプロモーション(SP)とはなにか--地域看護場面における実践と運用
- DV被害者に対する看護的視点の明確化と課題
- ザンビア国ルサカ市におけるプライマリーヘルスケアの現状と課題(ポスター発表P-4,青森県の保健・医療・福祉における包括ケアの発展をめざして,第3回青森県立保健大学学術研究集会抄録)
- HIV/AIDSプロジェクトと協働した地域DOTSのあり方 : ザンビア国ルサカ市の取り組みより
- 健康教室における参加者の学びが家族や地域へ波及する現象についての探索 : 減塩教室参加者の特性に関する検討
- 暴力被害者の二次受傷と回復に向けての支援
- 181 性暴力被害者への急性期看護ケアに関するDVD教材の評価(Group29 虐待・ドメスティックバイオレンス1,一般演題ポスター,第48回日本母性衛生学会総会)
- P-16. 在宅脳血管疾患療養者と家族から探った地域リハビリテーションの現状と課題 : 第2報:在宅療養から見えてきたこと(ポスター発表,制度改革をめぐって-保健・医療・福祉の場合-,2006年度青森県保健医療福祉研究発表会抄録)
- P-15. 在宅脳血管疾患療養者と家族から探った地域リハビリテーションの現状と課題 : 第1報:発症時から在宅までの経過から見えてきたこと(ポスター発表,制度改革をめぐって-保健・医療・福祉の場合-,2006年度青森県保健医療福祉研究発表会抄録)
- 市町村が行う機能訓練教室参加者の社会性の拡大に関する検討--主観的ソーシャルスキルと社会的交流を視点とした評価より
- 20歳代および30歳代女性のライフイベントと生活習慣 : 結婚, 妊娠, 出産, 育児の影響
- 20歳代および30歳代女性のライフイベントと生活習慣--結婚,妊娠,出産,育児の影響
- ブックレット「健康と生活シリーズ」No.2、No.5、No.7の紹介(「健康科学と地域貢献-『ブックレット健康と生活シリーズ』の作成と活用」-)
- 虚弱高齢者における包括的筋力トレーニングがQOLに及ぼす影響
- 地域住民の自己学習能力育成をねらいとするTYA方式の評価 : 第2報 学習効果の追跡評価(ポスター発表P-11,青森県の保健・医療・福祉における包括ケアの発展をめざして,第3回青森県立保健大学学術研究集会抄録)
- 地域住民の自己学習能力育成をねらいとするTYA方式の評価 : 第1報:教室とクラス会との学習過程の関連(ポスター発表P-10,青森県の保健・医療・福祉における包括ケアの発展をめざして,第3回青森県立保健大学学術研究集会抄録)
- 健康教育TYA方式の改良過程とその効果の分析 : 第2報 : 学習効果の評価
- 健康教育TYA方式の改良過程とその効果の分析 : 第1報 : シナリオの構造化と学習過程の分析
- TYA方式による減塩教育モデルの評価と今後の課題 : 第2報 教育効果の追跡(第2回青森県立保健大学学術研究集会)
- TYA方式による減塩教育モデルの評価と今後の課題 : 第1報 教育方法的見地からの検討(第2回青森県立保健大学学術研究集会)
- シナリオ学習 (PBL方式) を応用した新しい健康教育モデル (TYA方式2002) の開発(青森県の健康寿命アップと保健大学の取り組み, 第2回青森県立保健大学学術研究集会)
- 減塩による高血圧の一次予防を目指した効果的教育モデルの開発 : 第2報 : 指導効果の分析を中心に
- 高校生の Dating violence の特性と課題
- 減塩による高血圧の一次予防を目指した効果的教育モデルの開発 : 第1報 : TYA方式による学習状況を中心に
- P-13. 機能訓練教室クラス会開催に向けた大学と地域の連携プロセスの検討(ポスター発表,保健・医療・福祉サービスの充実のために,2007年度青森県保健医療福祉研究発表会抄録)
- P-22. 生活習慣記録機を装着することによって生じる勤労者のクチコミに関する検討(ポスター発表,制度改革をめぐって-保健・医療・福祉の場合-,2006年度青森県保健医療福祉研究発表会抄録)
- 青森市における運動量確保に関する研究 : 非積雪期と積雪期の比較から
- ドメスティック・バイオレンス被害者支援のためのチェックリストの検討--看護職へのアンケート調査から
- 地域における自殺対策の新展開--自殺は予防できる(10)韓国の自殺対策
- 寄稿 成年後見制度の利用状況と課題--精神障害者施設と訪問看護ステーションの比較より
- お互いの田畑で仕事をし, ともに収穫に与る : 青森市との共同研究・教育・事業を通して官学連携の鍵を探る
- 臓器移植プロセスにおける心理・社会的援助に関する研究 : レシピエント・透析患者・看護管理者の調査から
- 臓器移植プロセスにおける心理・社会的援助に関する研究 : 透析と移植に関する看護職の意識調査
- 阪神・淡路大震災ボランティア体験報告 : 震災後6ヵ月を経過した東灘保健所での活動
- 日本における法看護学教育カリキュラムの検討
- 地域活動センター創設期におけるPCMを用いた課題分析 : 脳血管疾患後遺症の中途障害者に対する保健師の地区組織活動(第2回青森県立保健大学学術研究集会)
- 女性相談所における相談指導員の支援の特質と課題(第2回青森県立保健大学学術研究集会)
- 脳血管疾患後遺症の中途障がい者に集団形成活動を行った保健師の看護支援--作業所開設に至るまでの事例分析から
- DV被害者を支援するスタッフが抱える困難の構造
- スリランカ国結核対策の現状(第1回青森県立保健大学学術研究集会)
- 老人保健法に基づく機能訓練事業における「機能低下」群の分析(第1回青森県立保健大学学術研究集会)
- 老人保健法に基づく機能訓練事業の意義の再検討 : 保健師の役割と参加者の自己評価より(第1回青森県立保健大学学術研究集会)
- 結核集団感染におけるエコ・マップの有用性と課題
- スリランカ社会主義共和国における結核対策の現状と課題
- 老人保健法に基づく機能訓練事業の意義と保健師の役割の再検討--参加者の自己評価より
- 介護保険制度施行後の地域難病対策の課題
- ケアリングを支える感性はどうしたら磨けるか?
- 今, 看護実践の現場では何が起こっているのか : 実践者と教育・研究者のコラボレーション
- 自己理解を相手の理解と相互のエンパワメントにつなげる
- 青森県の看護教育史に関する研究(第1報) : 看護教育機関の属性と史(資)料所蔵状況に関する調査
- 性暴力被害者支援看護師(Sexual Assault Nurse Examiner)養成プログラムの評価
- P-006 SANE養成講座の実践と評価 : 5期目を終えて(Group37 虐待・ドメスティックバイオレンス,ポスターセッション)
- 青森のシャーマニズム文化と精神保健
- DV被害者早期発見看護観察チェックリストの検討
- 看護に生きる家族ケアの体験
- 民生・児童委員活動における困難事例への支援
- 青森県における明治期の看護教育 : 日本赤十字社青森県支部の救護看護婦養成を中心に
- X県の地域断酒会活動の継続に向けたリーダーの思い
- 青森県の看護教育史に関する研究(第2報) : 2年課程看護師養成所の特質と課題・展望
- P-24. 生活習慣記録機装着による勤労者の運動意識に関する検討(ポスター発表,制度改革をめぐって-保健・医療・福祉の場合-,2006年度青森県保健医療福祉研究発表会抄録)
- 大会長講演 アディクションを必要とする社会と看護の役割--アルコール・ギャンブル・暴力と家族 (第5回日本アディクション看護学会学術大会)
- P-6. 津軽北部地域における地域リハビリテーションの現状と支援方法の検討(ポスター発表,制度改革をめぐって-保健・医療・福祉の場合-,2006年度青森県保健医療福祉研究発表会抄録)
- 精神看護領域の事例検討会における事例提供という体験の構造
- アディクション患者・家族へのケアの実際と看護職の役割
- 特別記事 日本の性暴力被害者支援看護の今後を探る--Sexual Assault Nurse Examinerの活動から学ぶ
- 暴力をめぐる問題にクリティカルシンキングを活かすために--児童虐待・DV・性暴力を例に (特集 クリティカルシンキングのスキルを育てる) -- (第1部 クリティカルシンキングとは何か)
- アディクション問題から見えてきた家族 (特集 現代の家族--神話を超えて)
- アメリカ看護協会で知った"暴力被害"への専門プログラム--「性暴力」そして「医療現場での暴力」に対応して (特集 殴られているのは誰だ--精神病院のなかの「暴力」)
- 焦点3 DV法成立と医療現場 DVに立ち向かう専門家たち『マサチューセツ総合病院』
- アメリカの「刑務所病院」に足を踏み入れて--デブンス刑務所病院 (焦点(1)触法精神障害者の「特別精神病院」構想を前にして)
- ドメスティック・バイオレンスと看護支援(終)暴力のない社会をめざして
- ドメスティック・バイオレンスと看護支援(7)看護介入
- ドメスティック・バイオレンスと看護支援-6-バタラ-の心理
- 暴力被害女性が抱える問題と回復援助 : 暴力被害女性民間シェルター運営の試みから
- 保健推進員とその家族の生活習慣の関連(第7回聖路加看護学会学術大会)
- 不同意メッセージへの気づき : 介護職員とのかかわりの中で出現する認知症の行動・心理症状の回避にむけたケア
- スティグマをはらむDV問題をめぐる看護相談の課題
- 歴史教材の教育力に関する研究 : 史料を通して学んだ地域看護学概論
- 職域における健康教室参加者からの教育波及効果を意図した保健指導プログラムの効果 : 教室参加者の学習内容の伝達と非参加者への影響
- DV被害女性が体験した支援と回復に関する一考察 : 回復過程における支援の現状と医療機関の役割
- DVへの早期介入と地域における家族支援--保健師としての役割 (特集 DV問題の解決に向けて)
- なぜ事例検討会を行うのか--自らの体験を振り返って (特集 事例検討会--保健師にとっての意義を改めて考える)
- 生活行動の難易度に関する高齢者の認識の適切さについて(一般セッション 医学・看護)