桜島で捕獲されたマツノマダラカミキリから抽出されたマツノザイセンチュウの病原性
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概要
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桜島南東部のクロマツ林で捕獲したマツノマダラカミキリ(Monochamus alternates Hope)から抽出したマツノザイセンチュウ(以後,単にセンチュウと称す)(Bursaphelenchus xylophilus (Steiner and Buhrer) Nickle)(桜島個体群)を苗畑に植栽されているクロマツ稚樹へ接種し,枯死率,樹脂滲出能,通水阻害の発生,センチュウの樹体内での分布状況について,強病原性とされているKa-4系統と比較した。 2000年8月25日に行った接種試験では,桜島個体群接種木のうち2001年1月までに17%,2000年9月までに47%の個体が枯死した。 2000年の枯死率は,Ka-4(30%)に比べ有意に低かったが,総枯死率(59%)では有意差がなかった。いずれのセンチュウ接種木でも,樹脂滲出能が接種4日後から低下する個体が見られ,2週間後には滲出を停止した個体が見られた。 2001年7月25日に実施した接種試験では,接種木の通水阻害はKa-4で接種後4週間目に,桜島個体群では接種後6週間目に生じたが,通水阻害の発生頻度に差はなかった。接種2週間後に,センチュウはサンプルしたほとんど全ての材片から抽出された。また,材片中のセンチュウ密度は,接種後1週間目から2週間目にかけて滅少したが,その後増加に転じた。桜島個体群とKa-4間で,材片中のセンチュウ密度に有意差はなかった。これらの結果から,桜島に生育するセンチュウの病原力は,強病原性とされているKa-4ほどは強くないが,その差は樹木にあまりストレスがかからない状態でのみ枯死率に差が生じる程度であると考えられた。桜島に生息するセンチュウの病原力の低さが,桜島南東部での被害発生が大隅半島の激害発生と比較して2〜3年遅れた主な原因であったとは考えられなかった。
- 鹿児島大学の論文
- 2002-12-25
著者
-
畑 邦彦
鹿児島大学農学部
-
曽根 晃一
鹿児島大学農学部
-
佐藤 嘉一
鹿児島県林業試験場
-
田中 幸記
鹿児島大学農学部生物環境学科
-
榊原 あおい
鹿児島大学大学院農学研究科
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北田 義幸
鹿児島大学農学部生物環境学科
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