ニワトリ大腸の神経支配について

概要

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ニワトリ大腸の背側を走る神経はintestinal nerve of Remakと呼称されている.この神経は解剖学的に検索されたにすぎない.また, 走行については不明確な点が多く, 機能に関する知見は全く見当らない.そこで著者らは, この神経の大腸運動に対する支配を, 生理学的に解明するために, 本研究を行なった.えられた成績を要約すること, つぎの通りである.1.INR(intestinal nerve of Remakを略称する)はplexus lumbo sacralisの領域から発し, 左右の神経幹として, 腎臓後葉の内側, 背面を通って尾側へ走り, 尿管と精管の間に介在して後下方に進み, 背側後端から排泄腔に進入する.そして, 排泄腔の漿膜面に密着して頭側に進み, 排泄腔の頭側端近くで排泄腔から離れる.その後, A.ileocecocoliaの左右両側を通過した直後に, 左右の両神経幹が集合し, 一体となって腸間膜中を結腸, 盲腸に沿って走る.2.INR中には, 大腸を促進的に支配する遠心性線維が含まれている.impulseは排泄腔→結腸(直腸を含む)→盲腸(左右両側)に沿って伝導する.つまり, 神経の形態とimpulse伝導方向との, 一般的関係とは全く異なっている.3.排泄腔よりも末梢の位置でINRを刺激すると, 排泄腔が収縮する.この現象を詳細に吟味した結果, INR中に結腸→排泄腔への局所反射の伝導路が含まれる, ことを知った.4.INR中には求心性線維も含まれる.この神経興奮によって, 呼息が抑制される.これにつづいて排糞(尿)運動が発現する.5.排泄腔の収縮は, 排糞運動と非排糞運動の2型式に区別される.前者は呼吸抑制, 尾座筋収縮などの, 一連の反応を伴う.これらの反応なくして, 排糞運動が起こることはない.6.排糞運動時の神経支配は, まずINR中の求心性神経の興奮から始まり, INR中の遠心性神経の興奮に終る.7.INR中に排糞を支配する求心性, 遠心性の両線維が含まれることは, 哺乳類の骨盤神経に匹敵している.したがって, 本神経を交感神経系とみなす従来の解剖学的見解は, 支持しがたい.少なくとも, 機能的には副交感神神経系に属する, と主張する.8.哺乳類の骨盤神経は遠側結腸だけを支配する.これに対し, INRの支配領域は大腸全域にわたっている.
鹿児島大学の論文
1971-09-25

ニワトリ大腸の神経支配について

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