外肛門括約筋の筋電図学的研究
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概要
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犬の外肛門括約筋について筋電図学的検討を加え, 次の結果をえた.1.外肛門括約筋は, 常に緊張的な収縮を持続している.2.直腸内容の増加および腹腔内圧の増加に伴って, 安静時の放電は減弱し, または消失した.常態および排糞時における本筋の活動の機構を反映している.3.安静時の放電は, 嗅刺激または痛刺激によって増強される.特に, 会陰部への痛刺激は, 放電活動の斉射をひき起した.視刺激, 聴刺激は, 本筋の収縮活動に変化を起さない.4.本筋のτ^^--S曲線は, 犬の骨格筋の中で最も右側に偏在し, その神経支配にCortical要素の関与が少なく, Spinal要素の関与が著しく優勢であることを示した.KおよびT曲線は他の骨格筋と同様に分離しえなかった.5.本筋の機能分化が, 生後2カ月以後に起るとは考えられなかった.6.姿勢の変化, 体重の移動, 強制的な姿勢変換などにより, 容易にCortical要素の参加を誘発し, いわゆるCorticalizationをひき起すことができた.7.薬物投与により, 放電活動を変化させることができた.その作用は, 他の骨格筋に比べてはるかに明瞭で, 同じ中枢神経系興奮薬でありながらMethamphetamineは本筋のSpinalizationをひき起し, Caffeineは本筋のCorticalizationを誘発するなどの作用点の相違を指摘することができた.また, 抗ChE薬は本筋のSpinalizationを起し, 中枢神経系抑制薬は本筋の収縮活動を著しく抑制した.8.脊髄犬においても, 正常時と同様のTonicな放電活動を発現し, 刺激に対して敏感に反応した.9.時系列解析法を適用することにより, 本筋筋活動の神経支配の内容をさらに詳しく検討することができ, これによって本筋におけるSpinal要素の優性, Corticalizationの機序を明らかにすることができた.本筋の持続的な収縮は, exteroceptiveな感覚器により多く依存していると考えられる脊髄準位の神経機構の活動によるが, 上位の神経機構の活動の参加もまた容易であって, 前者即ち, Spinal要素と, 後者即ち, Cortical要素の筋活動への参加が, 骨格筋に比べてはるかに明瞭に分離して出現するという特徴をもっている.
- 鹿児島大学の論文
- 1966-12-26
著者
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