サイカシン投与山羊における第一胃内容物の揮発性脂肪酸の動態 : サイカシン投与法に対する一考察
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概要
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ソテツの有毒配糖体サイカシンが, 第一胃内容物中の揮発性脂肪酸(VFAs)産生におよぼす影響を, 二種の投与方法を用いて検討した.すなわち, (1)カテーテルによる経鼻投与法, (2)rumen fistula経由投与法である.得られた胃内容物はgas chromatographyにより分析した.併せて, 臨床学的, 血液学的, 血液生化学的及び病理解剖学的観察を行なった.使用した動物は4頭の山羊で, それぞれの方法に, 投与例と対照例を組み合わせた.得られた結果は, つぎのように要約される.1.サイカシンは, 2.56mg/kgB.W./dayを91日間連続して投与した.2.体重は, 経日的に減少したが, 実験後半には横這い状態となった.3.検出されたVFAsは, 全例とも, 酢酸(C_2), プロピオン酸(C_3), 正酪酸(n-C_4), イソ吉草酸(i-C_5)の4分画であった.この中でC_2が常に多く, 実験1(6.65±1.42mg/dl), 実験2(8.47±1.49mg/dl)で, 以下, C_3,n-C_4,i-C_5の順であった.各実験例で, 対照例との間に差があったのは, 投与例2のC_3分画とi-C_5分画で, 他の分画にはなかった.ただしVFAs総濃度は実験1と実験2の投与例との間に有意の差が認められ, 実験2が多かった.また, 投与例2のC_3分画と総濃度との間には極めて強度の正の相関〔+0.938(<0.01)〕があった.4.第一胃内容物のpHには, いずれの組み合わせにおいても, 差を認めなかった.5.血液生化学的検査において, 共通的に差があったのは, GOT, LDHの上昇で, 他の項目では一定していなかったが, 肝臓機能障害が推測された.6.以上の結果から, 今回実験に用いた二種類の投与法は, 第一胃内炭水化物産生機構に, 特に障害を起こさなかったものと思われた.
- 鹿児島大学の論文
- 1994-03-25
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