ソテツ葉投与山羊における第一胃内容物の揮発性脂肪酸について
スポンサーリンク
概要
- 論文の詳細を見る
山羊にソテツ葉を投与したときの, 第一胃内炭水化物代謝に対する影響を知る目的で実験を行った.3頭の山羊(No.1-No.3)に, ソテツCycas revoluta Thunb.の葉を連続経口投与し, 主として第一胃内容物内に含まれる揮発性脂肪酸(VFAs)の動態をgas chromatographyにより分析し, 併せて臨床的観察を行った.投与量は1.0-2.5g/kg/day, 投与期間は111-130日, 総投与量は6259g-10367gであった.なお, 1頭を対照(No.4)とし, ソテツ葉を投与しないこと以外は, 同様の観察を行った.得られた結果は, つぎのように要約される.1.臨床的には, No.2が111日目に, 後躯の動揺, 犬座姿勢, 痙攣などの病状を示した.他の2頭には運動障害などの神経症状は認められなかった.3頭とも体重が減少した.2.第一胃内容物のVFAs濃度は, No.1,No.3および対照では, 6-8mg/dlの変動幅で推移したが, 長期傾向を認めなかった.これに対し, No.2では減少傾向を示した.ソテツ葉投与群中でNo.2が最も低い濃度であった.3.検出された分画は, 全例とも, 酢酸(C_2), プロピオン酸(C_3), 正酪酸(n-C_4), イソ吉草酸(i-C_5)の4分画であった.このなかで, 多くの比率を示めるのはC_2で, これにつぐのがC_3,n-C_4そしてi-C_5であった.4.第一胃内容物のpHは, No.1が6.68±0.24,No.2が6.78±0.11,No.3が6.63±0.28そして, 対照では6.43±0.34を示したが, このうちNo.1No.2が, 対照との間に有意差を認め高い値であった.一方, pHとVFAs濃度との相互関係において, 対照では-0.919(<0.05)と, 有意な著しい負の相関があった.これに対し, ソテツ葉投与群においては, 相関係数は低下ないし消失を表わした.これらの結果から, ソテツ葉投与が山羊の第一胃内炭水化物代謝に抑制的な影響を与えたことが示唆された.
- 鹿児島大学の論文
- 1989-03-15
著者
関連論文
- サイカシン投与山羊における第一胃内容物の揮発性脂肪酸の動態 : サイカシン投与法に対する一考察
- ニワトリの盲腸における食糜の移行と滞留について
- ソテツ葉ならびにサイカシン投与山羊における第一胃内容物内の揮発性脂肪酸の動態に関する研究
- ソテツ葉投与山羊における第一胃内容物の揮発性脂肪酸について
- 幼雛の腸管内揮発性脂肪酸の形成に関する研究
- 外肛門括約筋の筋電図学的研究