和歌山県白浜町で出生したユビナガコウモリ,Miniopterus fuliginosusの移動(1)2003,2004年
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概要
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和歌山県西牟婁郡白浜町にある海蝕洞で出生したユビナガコウモリMiniopterus fuliginosusの生後約1か月〜1か月半経た段階で標識を装着し、放獣した。2003年8月11日には261♂277♀、2004年同月同日には400♂420♀の合計1,358個体に標識を装着した。その後、2003年9月から2004年12月にかけて、本種が昼間の隠れ家として利用している可能性がある洞窟を紀伊半島、およびその周辺で25か所探し、標識個体の発見に努めた(表1)。また、調査した洞窟での生息個体数、捕獲した場合には妊娠個体の有無や幼獣の有無など、ユビナガコウモリの生息状況も把握した(表1)。その結果(表2)、白浜で放獣された個体が確認されたのは、7か所であり、出生洞窟から直線距離でもっとも近い所では約10km、もっとも離れている所は福井県遠敷郡上中町での約208kmであった。また、約200km離れている滋賀県多賀町の洞窟では2年間に3個体と複数個体が発見されたことより、単に偶発的な移動ではない可能性が高いことが示唆された。このような結果から、また近畿地区からは白浜以外に出産・子育てのために利用する洞窟が未発見であることからも、紀伊半島、およびその周辺、さらには近畿地区全体からしても、ユビナガコウモリの繁殖場所は白浜の洞窟1か所の可能性も考えられた。
- 2005-11-30
著者
-
鈴木 和男
田辺市ふるさと自然公園センター
-
前田 喜四雄
奈良教育大学教育学部附属自然環境教育センター
-
佐野 明
三重県科学技術振興センター
-
橋本 肇
Npo法人東洋蝙蝠研究所
-
寺西 敏夫
Npo東洋蝙蝠研究所
-
徐 華
奈良教育大学
-
井上 龍一
奈良教育大学
-
津村 真由美
日本野鳥の会和歌山支部
-
橋本 肇
NPO東洋蝙蝠研究所
-
奥村 一枝
NPO東洋蝙蝠研究所
-
阿部 勇治
多賀の自然と文化の館
-
阿部 勇治
多賀町立博物館
-
阿部 勇治
多賀町立博物館・多賀の自然と文化の館
-
前田 喜四雄
奈良教育大学教育学部付属自然環境教育センター
-
前田 喜四雄
Npo法人東洋蝙蝠研究所
-
前田 喜四雄
奈良教育大学
-
佐野 明
三重県林業研
-
Maeda Kishio
Department Of Anatomy Gifu College Of Dentistry
-
Maeda Kishio
Center For Natural Environment Education Nara University Of Education
-
佐野 明
三重県林業技術センター
-
佐野 明
三重県科学技術振興センター林業技術センター
-
鈴木 和男
自然環境教育センター
-
Abe Yuji
Taga Town Museum
-
Sano Akira
Mie Prefectural Science And Technology Promotion Center
-
Sano Akira
Mie Prefectural Science And Technology Promotion Center Forestry Research Center
-
阿部 勇治
Taga Town Museum
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