非運動鍛練者の最大有酸素作業能力測定のためのトレッドミル・テスト方法の検討
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概要
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最大作業 (運動) 能力は主として肺から作業筋に運ばれることのできる最大量の酸素に支配される。最大作業時に人体が摂り込む酸素の量, すなわち最大酸素摂取量 (Vo_2max) は人間の呼吸循環器系の体力 (全身持久力) の最もすぐれた示標として広く用いられている。一般に, このVo_2maxの測定にはトレッドミル走行テストが広く用いられているが, 中高年者や臨床的にはトレッドミル歩行テストが持久的体力の評価に用いられる。今日まで, 種々のテスト・プロトコールが発表されているが, その中から, 積極的に運動に参加しない学生を対象とする時に適応されるトレッドミル・テストを選らぶ目的で, 2〜3の検討が行なわれた。そのために, 15名の男子学生が次の2つのトレッドミル作業テストに参加した。Bruce プロトコールでは, トレッドミルの傾斜とスピードが3分毎に, 45.3m/分, 10% ; 66.7m/分, 12% ; 90.7m/分, 14% ; 112m/分, 16% ; 133.3m/分, 18% ; というように増加され, 一方のUSAFSAM (米空軍航空医学校) プロトコールでは, スピードは90m/分に固定され, 傾斜だけが3分毎に5%づつ増加された。テストの結果, 換気量を除いて, 酸素摂取量と心拍数の最大値では両テスト間に有意差を認めなかった。最大トレッドミル作業時間においては, Bruce プロトコールがUSAFSAMよりも約25%短かかった。しかし, 両テストとも, 最大酸素摂取量とトレッドミル運動時間の間には高い相関 (r=0.82) が得られ, その関係直線はBruceで, Vo_2max (ml/分/kg体重) =12.4+2.42 (トレッドミル時間) ; USAFSAMでは13.8+1.76 (時間)であった。このように, 測定の主パラメターが両テストにおいて類似したために, 歩行スピードが一定であるUSAFSAMプロトコールの方が, 被検者の歩行スピードに対する調整の必要性はテスト開始当初だけでよく, また Bruce の multi-stage にくらべて操作上の誤差もより小さくなるために, 体力の評価テストとしてより高い実用性を有すると云えよう。本研究で得られた若年者の最大酸素摂取量 (42.6ml/分/kg体重) は同じテスト方法で得られた中年齢の運動鍛練者 (40.6才) の値 (46.3) より低いものであった。この結果は身体活動, とくに持久的運動, の習慣化の意義を示唆するものといえる。
- 1978-07-01
著者
-
小林 義雄
中京大学教養部
-
竹内 敏子
中京大学教養部
-
細井 輝男
中京大学教養部
-
安藤 好郎
中京大学教養部
-
中尾 隆行
中京大学教養部
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滝 正男
中京大学
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滝 正男
中京大学教養部
-
白井 省三
中京大学教養部
-
細井 輝男
中京大学教養学部
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