呼吸循環系体力, 血清脂質, 踵骨骨密度に及ぼすエアロビックワークアウト効果

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本研究では1年間にわたるエアロビックワークアウトプログラムが壮年女性の健康に及ぼす効果を健康に関連する呼吸循環器系持久力, 脚筋力, 身体組成, 踵骨密度及び血清脂質の面から検討を試みてみた。8名の閉経前女性 (平均年齢39.9±3.6歳) が自発的にエアロビックダンストレーニング群 (D) に参加し, 他の8名の閉経前女性 (平均年齢38.0±2.9歳) が同様にコントロール群 (C) として本研究に参加した。トレーニングプログラムは週2回, 1年にわたって実施された。1回の運動は60分から構成され, 2回のトレーニングの内の1回はインストラクター指導によるプログラムで, 他の1回はビデオテープを観て各自で行うプログラムであった。運動強度は, 期間の前半が低強度 (約4Mets, 50ビート/分テンポ) と中強度 (約6Mets, 60ビート/分テンポで構成され, 期間の後半は中強度を中心に高強度 (約8Mets, 70ビート/分テンポ) を加えた内容で構成された。トレーニング効果を検討するためのパラメターとして, 体重, 体脂肪量 (%体脂肪), 最大酸素摂取量 (VO_<2 max>), 膝伸筋のアイソキネテイック筋力, 踵骨骨強度 (Stiffness Index=SI), 血清脂質・リポ蛋白が Baseline, 6ヶ月後, 12ヶ月後の3回測定され, それらの変動が検討された。プログラムへの参加率は90%であった。12ヶ月間のエアロビックダンスプログラムの結果, D群のVO_<2 max>とSIは10.1%および9.7%有意に増加した (P<0.05)。しかし, 膝伸筋の筋力は直線的に増加を示したものの, 有意差は認められなかった (P=0.09)。体重及び%体脂肪の変化にも有意差を認める事ができなかった。また血清脂質の変動においては, 動脈硬化度指数となる総コレステロール (TC) と高比重リポ蛋白コレステロール (HDL-C) 比に有意な低下 (P<0.05) が得られたが, HDCL-Cおよび中性脂肪 (TG) に有意な変化は見られなかった。本研究で得られたD群の10%のVO_<2 max>増加は, 分速100mの6ヶ月間ウオーキングトレーニング (3回/週) による9%の増加を報告した先行研究に対比することができる。ステップやジャンプといったエアロビックダンス特有の動作にもとづく踵骨への力学的なインパクトが筋肉の強化よりも大きな割合で踵骨SIを高めることに機能したものと推測される。D群のTC及びHDL-Cに有意な変化が得られなかったが, TCの減少とHDL-Cの増加傾向が観察され血液の健康という面でも有益性があるものと考えられる。有意差が得られない原因として被検者数が少ないことによる統計上のパワーが弱いことが考えられる。TCの減少とHDL-Cの増加傾向は動脈硬化度指数を表すTC/HDL-C比の有意な低下に反映されエアロビックダンスコンデイショニングの心血管系へ及ぼすトレーニング効果を観察することができた。TGに有意な変動が見られなかったのは被検者のTG値がもともと低く健康レベルの状態にあったことにもとづくものではないかと思われる。体重と%体脂肪に有意な変化がみられなかったことは, 運動による体重の減量は女性においては容易ではないというこれまでの先行研究の結果と一致する。女性の脂肪組織は男性に比べて運動の影響を受け難いのであろう。また本研究では摂取カロリーの規制を行わなかったこともその要因の一部であろう。以上のように, 女性の間で特に人気の高いエアロビックダンス (俗にいうエアロビクス) プログラムは中年齢女性の全身持久性, 血液性状, 及び骨密度を高めるのに効果的であるといえる。
2000-12-20

呼吸循環系体力, 血清脂質, 踵骨骨密度に及ぼすエアロビックワークアウト効果

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