対馬周辺海域から採集された遊在性多毛類
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概要
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1.国立科学博物館による第2回目の日本列島の自然史科学的総合調査が昭和43年と44年度にわたって対馬地方でおこなわれた。本調査の一環として対馬周辺海域の海産底生生物相を明らかにするべく, 昭和43年7∿8月にかけ, 福岡県水産試験場調査船げんかいの協力を得, 35地点でドレッチを曳き底生生物を採集した。2.同海域より不確定種7種を加え, 100種の遊在性多毛類が採集された。このうち7属と16種が日本未記録種であり, これらの大部分はインド太平洋海域に分布しているものである。3.アメリカの大西洋岸から報告されていたGoniadella gracilisがSts. 5,30から採集された。これはアジア海域から初めての報告である。4.本調査で得られた遊在性多毛類の各種が対馬海域を中心にした6つの海域の分布と比較された。同定された種類の81%は北海道, 本州, 九州の太平洋岸から, 32%は黄海から, 26%は日本海の北西沿岸から知られている。従って, 対馬周辺海域の遊在性多毛類は特に本州の太平洋岸のものと共通性が大である。5.この海域からSyllis spongiphilaが最も多く, 10地点より616個体が採集された。一方, 1個体しか採集されなかったものが18種におよんだ。6.一般に朝鮮海峡より対馬海峡の遊在多毛類が豊富であるが, これは対馬海峡の海底が比較的平坦であり, 潮流の流速がゆるやかなためと推察される。
- 1970-00-00
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