膀胱癌の局所治療に関する実験的研究 : 2. マイトマイシン Cの膀胱内注入療法について

概要

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強磁性マイクロカプセル化マイトマイシン(以下,FM-MM-m.c.と略す)と,V_2 carcinomaを用いた家兎移植膀胱腫瘍の実験モデルにより,抗癌剤の膀胱壁透過性を中心にした膀胱内注入療法に関する基礎的実験を行ない次の結果を得た.1)MMCのV_2 carcinomaに対する感受性は濃度依存性を示し,ヒト培養膀胱癌細胞(T24,MGH-UI)に対する感受性と共通した傾向を示した.2)V_2 carcinomaを用いた家兎移植膀胱腫瘍に膀胱内注入療法を行なったところ,従来の市販MMCに比べてFM-MMC-m.c.の抗腫瘍効果が著明であった.3)FM-MMC-m.c.を膀胱内に注入して磁場誘導した場合,膀胱組織内や血中および尿樽MC濃度は市販MMCの膀胱内注入に比べて有意に高値を示し,MMCの膀胱壁深層への到達性が証明された.この結果は,in vivoのV_2 carcinomaに対するFM-MMC-m.c.の抗腫瘍効果を裏づけるものであった.4)膀胱内に注入した抗癌剤を磁場誘導することにより,新らしい膀胱内注入療法が可能になると思われた.本法は単に膀胱組織への抗癌剤透過性を高めるばかりでなく,膀胱内での腫瘍組織に対する選択毒性を可能にする理想的な局所化学療法として期待できる.
1981-09-20