上部尿路平滑筋の収縮蛋白に関する研究 : 正常時および尿管閉塞時における収縮蛋白含量について

概要

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SDS-polyacrylamidegel電気泳動法を用いて上部尿路における収縮蛋白を評価した。myosin α-actininおよびactinが腎孟上部、腎孟下部ならびに尿管の上部尿路各領域において同定された。腎孟上部は有意に腎孟下部よりmyosin含量が少なかった。腎孟下部は尿管より低myosin含量であった。尿管は今回調べた領域の中で最大のmyosin含量を示した。actin含量は腎孟下部よりも上部の方が多く、尿管と腎孟上部とほぼ同量であった。これらの結果は上部尿路の各領域がそれぞれ特徴的な収縮蛋白含量をもつことを示唆する。拡張上部尿路の収縮蛋白含量を実験的に作製したウサギの水腎水尿管を用いて検討した。拡張腎孟と正常腎孟の収縮蛋白含量の間には有意の変化を認めなかった。ところが、拡張尿管における収縮蛋白含量は著しい変化を示した。尿管の拡張度(内径)と収縮蛋白含量(actin、myosin)を対応させると、両者の間には有意の逆相関が認められた。中等度拡張尿管では、actin、myosin含量ともに正常尿管より増加していた。さらに拡張が進行するとactin含量は正常尿管とほぼ同量であったがmyosin含量は正常値以下に減少した。
社団法人日本泌尿器科学会の論文