強酸性電解水の矯正用切断器具の切断性への影響について

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強酸性電解水(強酸性水)は, 強い殺菌作用をもち操作も簡便で安価であるため歯科領域で広く応用されるようになってきた.矯正歯科領域でオートクレーブ滅菌ではピンアンドリガチャーカッター(ピンカッター)のような切断器具は腐食や熱の影響で切断力の低下がおこる可能性がある.そこで本研究では矯正用切断器具に対する強酸性水滅菌後とオートクレーブ滅菌後の影響を比較し強酸性水の有用性を検討したので報告する.1. ピンカッターについて, 強酸性水滅菌とオートクレーブ滅菌の切断性への影響を検討した.ピンカッターに両滅菌をそれぞれ繰り返し10回ごとに, ワイヤー切断に必要な力を測定した.切断に必要な力は強酸性水滅菌では増加は認められなかったが, オートクレーブ滅菌では回数を重ねるごとに増加した.2. 肉眼による刃部の観察では, 強酸性水滅菌では変化は認められなかったが, オートクレーブ滅菌は著しい腐食がみられ, 刃こぼれが認められた.3. 強酸性水滅菌を100回行ったものと, オートクレーブ滅菌を100回行ったものを走査型電子顕微鏡で観察した.強酸性水滅菌では表面にわずかに腐食生成物がみられ, 刃部では変化は認められなかった.しかし, オートクレーブ滅菌では表面に著しい腐食生成物がみられ, 刃部では崩壊が認められた.これら結果よりオートクレーブ滅菌では腐食が著しく, 切断力が低下する.しかし, 強酸性水滅菌では腐食は少なく切断力に影響はないことから矯正用切断器具に対して強酸性水滅菌はオートクレーブ滅菌と比較して有効であると考えられる.
日本矯正歯科学会の論文

強酸性電解水の矯正用切断器具の切断性への影響について

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