タッピングにおける正常咬合者と不正咬合者の咬合接触の動的解析

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感圧シートによる咬合面圧分布測定装置(T-スキャンII)を用いてタッピング運動時の咬合接触の再現性および個性正常咬合者と不正咬合者の違いについて検討した.被験者には,個性正常咬合者群として顎口腔機能に異常が認められない30名(男性14名,女性16名),不正咬合者群として66名(I級:14名男性3名,女11名,II級:14名男性5名,女性9名,手術を併用しないIII級:15名男性2名,女性13名,III級のうち,手術を併用する骨格性下顎前突:23名男性8名,女性15名)を用い,タッピング運動時の咬合接触時間,接触開始から最大接触面積に至るまでの時間,1ストロークの時間,重心移動距離,最大接触面積,前歯部接触歯数を計測して以下の結果を得た.1.タッピングの速度を変化させた時,±5%のスピード変化では咬合接触時間は自由にタッピングをさせた時と比べて変化しなかった.2.すべての計測項目において,有意な日間変動は認められなかった.3.すべての不正咬合者群において,正常咬合者群と比較して接触開始から最大接触面積に至るまでの時間,タッピングの1ストローク時間は有意に長かった.最大接触面積は1級不性咬合を除くすべての不正咬合で有意に小さく,前歯部接触歯数はII級不正咬合と骨格性下顎前突で有意に少なかった.骨格性下顎前突者は咬合接触時間および重心移動距離においても正常咬合者と比較して有意に大きな値を示した.4.以上の結果より,本測定システムはタッピング時の咬合接触の動的解析において十分な再現性を有しており,不正咬合者には歯列の不正のみならず,タッピング運動時に咬合接触に関連した機能的な異常が認められることが示唆された
日本矯正歯科学会の論文

タッピングにおける正常咬合者と不正咬合者の咬合接触の動的解析

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