口唇と切歯および上下顎の位置関係

概要

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上下口唇の位置が直下の歯の位置と歯軸および上下顎の偏位とどのような関係にあるかを検討した.個性正常咬合の成人女性50名の側面頭部X線規格写真を対象として,上下口唇の位置(UL-E.line,LL-E.line),上下顎切歯切端の位置(A-Pog線への距離U1-APO,L1-APO)と上下顎切歯歯軸角(∠U1-FH,∠L1-FH)および上下顎の位置(前後方向;∠ANB,AB点間の距離A-B,垂直方向;下顔面高ALFH,下顔面高/上顔面高ALFH/AUFH)の値を求めた.上下口唇の位置と上下顎切歯歯切端の位置および上下顎切歯軸角に影響する有意な変数をステップワイズ回帰分析法で調べた結果,(1)UL-E.lineに対してはU1-APOと∠ANBが,LL-E.lineに対してはL1-APO,∠ANB,ALFH/AUFHが影響していた.(2)U1-APOに対してはALFH/AUFHと∠ANBが,L1-APOに対してはALFHが影響していた.(3)∠U1-FHと∠L1-FHに対してはA-Bが影響していた.(4)上下口唇の位置と最も関係の深い上下切歯切端の位置は,上下顎の垂直方向と前後方向の偏位を強く反映していた.以上のことより,E.lineに対する上下口唇の位置は,上下切歯切端の位置と上下顎の位置の偏位を反映して規則的に変化していることが分かった.これは,切歯切端が顎骨の偏位に対して一定の関係を保っているためと考えられた.
2009-10-25