口呼吸患者とその親子の顎顔面形態の類似性

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口呼吸癖のある患者において, 常時開口している状態が顎顔面の成長発育に影響を及ぼす可能性が考えられる.本研究は口呼吸患者における顎顔面形態を分類してそれぞれにおいて親子の相関を調べ, 口呼吸習癖が顎顔面形態に与える影響を分析することを目的とした.資料は本学歯科矯正科に来院した口呼吸癖のある小学児童41人(男子18人, 女子23人, 6∿12歳)とその両親を対象とした側面頭部X線規格写真を用いた.そして側面頭部X線規格写真上の13計測項目について計測, 分析を行った.その結果, 口呼吸癖をもつ患者の顎顔面形態は, Y-axisとInterincisalの組み合わせを用いて最も明瞭に2群に分けることができた.それらは下顎が後下方回転し上下顎前歯の舌側傾斜を示す群(L群;14人)と, 下顎の回転はなく上顎前歯が唇側傾斜を示す群(S群;13人)であった.正常者標準値との比較で有意差が認められた項目はS群では切歯軸に関する2項目だけであったのに対し, L群では骨格系項目を含めた9項目と多かった.また, 親子の相関は, S群では6項目で有意な相関がみられたのに対し, L群では有意な相関がみられたのは1項目のみであった.以上のことから口呼吸癖は顎顔面形態に一様な変化をもたらすのでなく, 下顎骨の後下方回転をもたらすタイプとそれが生じないタイプに分けられ, 前者においてより強く口呼吸癖の影響が現れていることが推察された.
日本矯正歯科学会の論文

口呼吸患者とその親子の顎顔面形態の類似性

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