マレック病ウイルス血清2型糖蛋白M遺伝子の同定および構造 : ヘルペスウイルス属の糖蛋白M遺伝子との比較
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概要
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マレック病ウイルス2型(MDV2)ゲノム上の人単純ヘルペスウイルス1型のUL10遺伝子産物である糖蛋白M(gM)をコードすると考えられるBamHI-C断片の一部の塩基配列決定を行った. その結果, この遺伝子は424アミノ酸残基をコードし, 予想される翻訳産物の分子量は46.9 kDaであった. また, この翻訳産物は人単純ヘルペスウイルス1型(37.5%)及び他のヘルペスウイルス(45.4%から31.8%)の相同蛋白と比較的高い相同性を示した. この遺伝子の開始コドン上流には幾つかの推定転写調節因子が存在し, 実際のRNA解析により, この遺伝子は1.5 kbのRNAとして転写されていることが確認された. Computer解析により, 予想される蛋白は8つの十分な長さの疎水性領域を持ち, これらは今までの他のヘルペスウイルス相同gM蛋白と同様に脂質2重層にまで及んでいると推測された. 1番目と2番目の疎水性領域間には, 2つの推定糖鎖付加部位が存在した. 予想される翻訳産物のC-末端に, 高荷電残基が数多く含まれていることは興味深いが, その機能については未だ不明である. 今回解析されたMDV2UL10アミノ酸配列も他のヘルペスウイルスの相同蛋白と比較することにより, ヘルペスウイルスが共通の祖先よりなっていること, また, MDVがアルファヘルペスウイルスに属することの証明に寄与するものと思われる. 加えて, 人, 哺乳類, 鳥類のヘルペスウイルスにおいて, この遺伝子に相当する遺伝子が良く保存されていることは, ウイルスの生活環にとってgMが重要な役割を担っていることを間接的に示していると思われる.
- 社団法人日本獣医学会の論文
- 1999-05-25
著者
-
見上 彪
帯広畜産大学畜産学部
-
加藤 健太郎
東京大学大学院農学生命科学研究科獣医微生物学研究室
-
高橋 英司
東京大学大学院農学生命科学研究科獣医微生物学教室
-
宮沢 孝幸
東京大学大学院農学生命科学研究科獣医微生物学教室
-
見上 彪
東京大学大学院農学生命科学研究科獣医微生物学教室
-
池田 靖弘
東京大学大学院農学生命科学研究科獣医微生物学教室:ロンドン大学ウィンダイアー医科学研究所
-
泉屋 吉宏
東京大学大学院農学生命科学研究科獣医微生物学教室
-
津島 良典
東京大学農学生命科学研究科獣医学専攻獣医微生物学教室
-
察 錦順
東京大学大学院農学生命科学研究科獣医微生物学教室
-
張 炯寛
東京大学大学院農学生命科学研究科獣医微生物学教室
-
津嶋 良典
東京大学大学院農学生命科学研究科獣医微生物学教室
-
Damiani A.M.
東京大学大学院農学生命科学研究科獣医微生物学教室
-
甲斐 知恵子
東京大学大学院農学生命科学研究科獣医微生物学教室
-
泉屋 吉宏
東京大学農学生命科学研究科獣医学専攻獣医微生物学教室
-
津嶋 良典
帯広畜産大学原虫病研究センター:東京大学大学院農学生命科学研究科獣医微生物学教室
-
Kato Kentaro
Department Of Veterinary Microbiology Graduate School Of Agricultyral And Life Science The Universit
-
Matsui Takane
三菱化学安全科学研究所
-
甲斐 知恵子
東京大学医科学研究所実験動物施設
-
Miyazawa T
Univ. Tokyo Tokyo Jpn
-
Takahashi E
Obihiro Univ. Agriculture And Veterinary Medicine Obihiro Jpn
-
Takahashi E
Department Of Veterinary Microbiology Graduate School Of Agricultural And Life Sciences The Universi
-
Damiani Armando
Department Of Veterinary Microbiology Graduate School Of Agriculture And Agricultural Life Science T
-
Jang H‐k
Univ. Tokyo Tokyo Jpn
-
張 炯寛
東京大学農学生命科学研究科獣医学専攻獣医微生物学教室
-
Kai C
Univ. Tokyo Tokyo Jpn
-
見上 彪
帯広畜産大学基礎獣医学研究部門
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