ヤマトシジミへの腸炎ビブリオの定着
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概要
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腸炎ビブリオを経口摂取したヤマトシジミを砂末と人工海水を入れた環流式水槽内で飼育し, 経時的に貝の軟体部乳剤に含まれる摂取菌の生菌数を測定することにより本菌がヤマトシジミに定着する条件を検討した。神奈川溶血毒産生菌D-3株を10^6 cfu/gの濃度に摂取した貝を60〜30%濃度の人工海水中で飼育した結果, 貝から検出される菌数は摂取後4日目に10^3 cfu/g前後まで減少した後に安定化し, 14日目までほぼ同じ濃度で検出されたが, 摂取後7〜14日目の菌数は貝の飼育水の塩分濃度が高いほど多い傾向を示した。60%濃度の人工海水中では摂取後2日目以降, 貝の腸管と中腸腺を含む乳剤から最も多くの菌が検出された。神奈川溶血毒の産生量の異なる腸炎ビブリオ, 3株と大腸菌1株を各々10^6 cfu/gの濃度に摂取した貝を60%濃度の人工海水中で飼育し, 貝の体内の菌数の推移を比較した結果, 腸炎ビブリオを摂取した貝からはいずれの菌株についても摂取後7日目から28日目まで10^3 cfu/g前後の菌が検出されたが, 大腸菌は次第に減少し, 21日目には検出されなくなった。以上の成績から, 腸炎ビブリオは本実験に用いた条件下では神奈川溶血毒産生能の有無にかかわらずヤマトシジミの体内で少くとも28日間生残することが明らかになった。
- 社団法人日本獣医学会の論文
- 1986-04-15
著者
-
加藤 英一
北海道大学獣医学部獣医公衆衛生学教室
-
加藤 英一
鳥取大学農学部獣医公衆衛生学教室
-
熊澤 教眞
鳥取大学農学部獣医公衆衛生学教室
-
熊澤 教眞
琉球大学熱帯生物圏研究センター
-
Kato E
Department Of Veterinary Public Health Faculty Of Agriculture Tottori University
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Kato E
Department Of Veterinary Public Health Faculty Of Agriculture Tottoriuniversiy
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中川 幸夫
鳥取大学農学部獣医公衆衛生学教室
-
Kato Eiichi
Department Of Public Health Faculty Of Veterinary Medicine Hokkaido University:(present Address) Dep
-
Kato Eiichi
Department Of Public Health Faculty Of Veterinary Medicine Hokkaido University:(present Address) Dep
-
Kato Eiichi
Laboratory Of Veterinary Hygiene And Microbiology Faculty Of Veterinary Medicine Hokkaido University
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