ヤマトシジミの血液細胞の形態とライソゾーム酵素活性
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概要
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腸炎ビブリオ(食中毒原因菌)に対するヤマトシジミの防御機構を解明する一環としてヤマトシジミの血液細胞の形態とライソゾーム酵素活性を検討した。ヤマトシジミの血リンパ中では糸状仮足と葉状仮足をもち, ガラス上で伸展する細胞が94.3%を占め, 残りは仮足をもたない円形細胞であった。ヤマトシジミの血漿を10%濃度に添加したCherninの生理的塩類溶液中で25℃30分感作した時, 伸展細胞と円形細胞の比率はNaCl濃度によって異なり, 1.8%NaCl中で伸展細胞の比率が最も多かった。このことからヤマトシジミの血液細胞は形態的にイシマキガイの血液細胞と似たアメーバ状細胞と円形細胞を含んでいること, 培養液の組成によってアメーバ状細胞の形態が異なることが明らかになった。ライソゾーム酵素染色の結果, 非特異的エステラーゼ, 酸性フォスファターゼおよびβグルクロニダーゼ陽性細胞は各々血液細胞全体の98.7, 35.7および55.9%を占めていた。ヤマトシジミの血液細胞に占めるβグルクロニダーゼ陽性細胞の比率はアマオブネガイ科巻貝類の血液細胞(約10%)に比較して有意に多かった。イシマキガイとヤマトシジミの血液細胞は酸性フォスファターゼ陽性細胞のすべてが弱陽性であったことから, このことが汽水域に分布する貝類の血液細胞の特徴であるように見える。
- 1991-10-31
著者
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熊澤 教眞
鳥取大学農学部獣医公衆衛生学教室
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熊澤 教眞
琉球大学熱帯生物圏研究センター
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森本 直樹
鳥取大学農学部獣医公衆衛生学教室
-
笠城 典
鳥取大学医学部第一病理学教室
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谷川 孝彦
鳥取大学医学部
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田中 吉紀
鳥取大学医学部
-
田中 吉紀
鳥取大学医学部細菌学教室
-
笠城 典子
鳥取大学病理学教室
-
亀家 俊夫
鳥取大学解剖学教室
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舟木 賢治
鳥取大学解剖学教室
-
飯野 晃啓
鳥取大学解剖学教室
-
谷川 孝彦
鳥取大学医学部細菌学教室
-
飯野 晃啓
鳥取大学医学部第一解剖学教室
-
亀家 俊夫
鳥取大学医学部第一解剖学教室
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