ブタの腎糸球体基底膜における陰性荷電部位の変化

概要

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ブタのメサンギウム増殖性糸球体腎炎10例について, 陽性荷電トレーサーのポリエチレンイミン (0.5%溶液, 分子量=1,800) を用い, 腎糸球体基底膜 (GBM) における陰性荷電部位の変化を超微形態学的に観察した. 糸球体の陰性荷電部位は電顕的にGBM, メサンギウム基質, 上皮細胞表面に明瞭な高電子密度の粒子として観察された. 正常GBMの外透明層では, 陰性荷電部位は単層で規則的に分布していた. しかし, dense depositsやspherical microparticles (SMPs) が存在する外透明層では, 全例において陰性荷電部位が明らかに減少ないし消失していた. GBMがび漫性に肥厚していた1例の外透明層における陰性荷電部位は, 肥厚が認められなかった他の9例のそれに比較して有意に少なかった (P<0.001, Mann-WhitneyのU検定). 正常GBMの緻密層に陰性荷電部位は認められなかったが, GBMのび漫性肥厚を示した1例の緻密層には陰性荷電部位が不規則に分布していた. 以上の結果より, ブタの糸球体腎炎においては, GBM肥厚や外透明層におけるdense deposits, SMPsの沈着によりGBMのチャージ・バリアーが障害される事が示唆された.
社団法人日本獣医学会の論文
1997-10-25