国内飼育下チーターのenteric helicobacterに関する病理学的研究(平成14年度麻布大学公的研究助成金事業研究成果報告)
スポンサーリンク
概要
- 論文の詳細を見る
チーターを始めとする大型肉食ネコ科動物における腸型ヘリコバクターに関する報告は見当たらない。そこで,チーターにおける腸型ヘリコバクターの感染状況と病変との関連を明らかにすることを目的として,本研究を行った。1994年から2002年の間に病性鑑定を行った63頭より今回の検索に適した36頭を選択し,これらの消化管(十二指腸7例[DD],小腸28例[SI],盲腸15例[CC],結腸37例[LI])を検索した。また全ての症例および部位に程度に差があったが,リンパ・プラズマ細胞性腸炎が観察され,特に盲腸で高度であった。糜爛・潰瘍が[DD]1(14%),[SI]2(7%),[CC]10(63%)[LI]12(40%)でみられ,粘膜固有層へのアミロイド沈着が[DD]5(71%),[SI]28(97%),[CC]11(69%)[LI]23(77%)に認められた。ヘリコバクターは,陰窩の拡張を伴って腺底部の腺腔内を中心に21(57%)に観察され,その内訳は[DD]0,[SI]6(21%),[CC]9(56%)[LI]14(47%)であった。ヘリコバクターは直線的で,約3.5×0.3μmで,規則的に密に巻き付く細胞周囲線維を有していた.以上の結果から,H.billsあるいはFlexispira rappiniと考えられるヘリコバクターがチーターに高率に感染していることが明らかになった。ヘリコバクター感染と病変との関連は一見ないようであった。しかしながら,ヘリコバクター感染がリンパ・プラズマ細胞性腸炎や糜爛・潰瘍とどのように関連するか,さらに検討する必要がある。また,調査可能であったチーター全てに認められた消化器症状の発現には,腸炎ないしはアミロイド沈着が重要な役割を担っていることがわかった。特にアミロイド沈着は高度で,他の臓器への沈着とともにチーターの死因として重要な病変と考えた。
著者
-
宇根 有美
麻布大学獣医学部
-
野村 靖夫
麻布大学獣医学部
-
宇根 有美
麻布大学大学院獣医学研究科
-
野村 靖夫
麻布大学大学院獣医学研究科
-
宇根 有美
麻布大学 獣医学部病理学研究室
-
宇根 有美
日本大学 獣医公衆衛生学研究室
-
宇根 有美
麻布大学獣医学部病理学教室
-
宇根 有美
麻布大学 病理学 研究室
-
野村 靖夫
麻布大学獣医学部獣医病理学研究室
-
野村 靖夫
麻布大学
-
野村 靖夫
麻布大学 獣医学部病理学研究室
-
Nomura Yasuo
Department Of Veterinary Pathology Azabu University
関連論文
- 6 爬虫類寄生ダニ類からのリケッチアの検出(第54回日本衛生動物学会北日本支部大会講演要旨)
- 輸入動物(アメリカモモンガ)に起因するレプトスピラ症感染事例 (特集 人と動物の共通感染症最前線(3))
- 阿武隈山地北部のトウホクサンショウウオにおける皮膚メタセルカリア結節の発生とその増加
- 動物のHelicobacter属細菌感染症 : ペットにもピロリ菌はいるのか?(第77回麻布獣医学会)
- カエルの大量死--両生類の新興感染症
- カエルツボカビのその後
- 両生類の最悪の病原菌カエルツボカビ : 病原性, 感染性, 適応性の解明が急務
- 犬の頸神経内に発生した骨外性軟骨肉腫の1例
- 6.犬にみられた水頭・脊髄空洞症の一例(一般講演,第78回麻布獣医学会)
- 国内飼育下チーターのenteric helicobacterに関する病理学的研究(平成14年度麻布大学公的研究助成金事業研究成果報告)
- 爬虫類のクリプトスポリジウム感染(動物園及び野生動物の感染症2002)
- ペット用カメにおける Salmonella 保有状況
- 両生類のツボカビ症
- 両生類のツボカビ症問題の重要性 (特集 身近な外来種(2)ほ乳類・鳥類・は虫類・両生類編)
- ホットコーナー カエルツボカビ
- カエルツボカビ症
- 両生類のツボカビ症 (特集:カエルツボカビ症対策)
- わが国に輸入されたカメおよびトカゲ類における Salmonella の保有状況
- リスザルのエルシニア症(Yersinia pseudotuberculosi感染症)(動物園及び野生動物の感染症2002)
- 70 牛の好酸性筋肉炎8例の病理組織学的所見 (病理学分科会)(第74回日本獣医学会)
- 149 横浜市における1968〜70の3ヶ年間の食肉動物の腫瘍について(病理学分科会)(第72回日本獣医学会記事)
- 愛玩用輸入齧歯類の病原体保有調査(I.大学院重点特別・研究科特別経費,平成18年度麻布大学公的研究助成金事業研究成果報告)
- 猫ヘルペスウイルス1型最近分離株の実験感染(短報)(ウイルス学)
- わが国における犬のオーエスキー病の自然例
- 胎児性横紋筋腫型腎芽腫の豚の1例
- フェレットの自然発生性アリューシャン病の1例(短報)
- (2)カエルの新興感染症「ツボカビ症」(シンポジウム「最近話題の感染症」,日本家屋害虫学会第28回大会研究発表要旨)
- 世界のカエルを脅かすツボカビ症と日本の状況
- 幼若猫に認められた腎周囲性腎盂憩室(短報)(病理学)
- イヌにおける胃腸管間質腫瘍(GIST:Gastrointestinal Stromal Tumor)の形態学的・免疫組織化学的検索(第80回麻布獣医学会)
- 繁殖豚における Helicobacter 属細菌の感染状況
- 国内飼育下チーターのenteric helicobacterに関する病理学的研究(研究科分,平成15年度麻布大学公的研究助成金事業研究成果報告)
- デスミンの猫肥大型心筋症におけるマーカーとしての可能性(短報)
- 若齢犬の脊髄原発性腎芽腫の1例
- 若齢豚の肝臓血管肉腫の1例
- 2頭のオグロプレーリードック(Cynomys ludovicianus)にみられた肝炎と肝細胞癌
- 持続性心房停止をともなった特発性右房拡張症の犬の1例
- 豚の軟骨異形成症に認められた先天性腎糸球体線維症(短報)
- 犬にみられたリンパ管肉腫(短報)
- ファローの四徴症の牛に認められた交叉性脂肪栓塞症(短報)
- 猫の下垂体依存性副腎皮質機能亢進症の一例
- 豚骨髄性白血病(好酸球性)の1例
- バンドウイルカ(Tursiops truncatus)の2例における呼吸器系接合菌症
- リクガメのヘルペスウイルスの検出のためのポリメラーゼ鎖反応(PCR)(短報)
- 「カエルの大量死」 —両生類の新興感染症—
- Prototheca zopfii による牛乳房炎の3症例
- ブタ血清誘発ラット肝線維症の形態学的・免疫組織化学的研究
- ラットのC-myc癌遺伝子に関する遺伝標識としての制限酵素断片の多型性
- 輸入動物に関する感染症の疫学及び病理学的研究 : 愛玩用野生齧歯類の輸入状況と病原体保有状況
- ネコにおけるBence Jones蛋白尿を伴ったIgA-M蛋白血症
- 輸入愛玩用野生齧歯類のレプトスピラ保有状況と保菌動物の病理像 (特集 人と動物の共通感染症最前線(3))
- ザンビアの野生のシマウマに認められた皮膚のブドウ球菌性肉芽腫 (短報)
- エキゾチックアニマルとズーノーシス
- 213 肉食衛生検査時の腫瘍の取扱について,とくにその発現率と病変の分布 (公衆衛生学分科会)(第74回日本獣医学会)
- 89 犬のリンパ肉腫症の病理学的研究 : I. 最近剖検した5例の臨床像と病変分布 (病理学分科会)(第74回日本獣医学会)
- 65 ハムスターの赤血球系細胞の電子顕微鏡的研究 : I. 特に,塩酸フエニルヒドラジン投与時の骨髄内赤芽球脱核過程について (病理学分科会)(第74回日本獣医学会)
- 220 家畜腫瘍の病理組織学的研究 : V. 1971年に検索した102例の腫瘍について (病理学分科会)(第73回日本獣医学会)
- 148 家畜腫瘍の病理組織学的研究 : IV. 1970年に検索した107例の腫瘍について(病理学分科会)(第72回日本獣医学会記事)
- 東京都内のスズメとムクドリの筋胃に寄生するAcuaria skrjabini(寄生虫病学)
- わが国のネコから分離したオーエスキー病ウイルス(ADV)の遺伝子型(短報)
- わが国のネコのオーエスキー病ウイルス(ADV)の自然感染例(短報)
- 牛のムーコル症の1例について
- 豚の脾臓過誤芽腫(短報)
- 209 縫合糸の組織反応について(臨床分科会)(第71回日本獣医学会記事)
- 神奈川県食肉衛生検査所における1970-1990年の豚腫瘍の検出状況
- チーター由来Helicobacter属細菌の超微形態 (特集 野生動物の感染症(2))
- 輸入動物に関する感染症の疫学及び病理学的研究 : 愛玩用野生齧歯類の輸入状況と病原体保有状況
- 愛玩用輸入野生齧歯類の病原体保有状況 (特集 人と動物の共通感染症最前線(2))
- 愛玩用齧歯類の輸入状況と病原体保有の現状
- 愛玩用野生齧歯類の輸入状況と病原体保有状況
- 輸入動物に関する感染症の疫学及び病理学的研究 : 愛玩用野生齧歯類の輸入状況と病原体保有状況(共同研究,平成15年度麻布大学公的研究助成金事業研究成果報告)
- リスザルの皮質過骨症の経時的観察(I.大学院重点特別・研究科特別経費,平成18年度麻布大学公的研究助成金事業研究成果報告)
- 法定検疫直後のペット用サル類の病原体保有状況 (特集 人と動物の共通感染症最前線(3))
- リスザルの皮質過骨症の経時的観察
- リスザルの皮質過骨症の経時的観察
- イヌ肝結節性線維症-症例の形態学的研究
- ブタ血清誘発ラット肝線維症の病理発生に関する研究 : 高血圧の影響
- イヌの肝芽腫 (短報)
- ブタの腎糸球体基底膜における陰性荷電部位の変化
- イヌ肝細胞癌の血洞壁細胞に関する免疫組織化学的および電顕的研究
- 広範な骨転移のみられた犬胃癌の1例
- 猫の心臓右心室乳頭筋の異形成の1症例
- ネコ組織球肉腫の1例 (短報)
- ブタ肥満細胞症例の腎糸球体に認められたメサンギウム内硝子滴形成とmesangiolysis
- Sprague-Dawley系ラットにおける心毒性化合物誘発早期心筋病変
- 豚の腎糸球体病変に関する微細形態学的研究
- ネコの脂肪肉腫の1例
- トリシプシン処理パラフィン切片免疫蛍光法によるブタ腎内IgG, C3の検出 : ホルマリン固定条件の影響
- 豚の糸球体病変 : 100例における光学顕微鏡的病変およびIgG, C3の沈着
- 豚の空腸壁神経叢原発の多発性神経節腫
- エキゾチックアニマルとワイルドアニマルの動物由来感染症
- フトアゴヒゲトカゲの胃原発カルチノイドの3例
- 病理学のポイント
- 獣医師のためのツボカビ症(Chytridiomycosis)解説 (日本獣医師会会誌)
- 最近の輸入動物の感染症について
- 齧歯類 レプトスピラ (特集 エキゾチック動物の感染症最前線)
- フェレット ジステンパー症 (特集 エキゾチック動物の感染症最前線)
- 両生類の新興感染症カエルツボカビの起源を探る (秘かに侵入する外来生物 : その実態とインパクト)
- 犬の椎間板疾患に対する経皮的レーザー椎間板減圧術の基礎的・臨床的研究
- 獣医師のためのツボカビ症 (Chytridiomycosis) 解説