Co-PCBsの次世代に及ぼす影響(研究サブ・グループ1,麻布大学ハイテク・リサーチ・センター研究プロジェクト「ダイオキシン類(コプラナーPCBsなど)の生体影響評価と植物による環境モニタリングおよび環境浄化技術の開発」,ハイテク,平成15年度麻布大学公的研究助成金事業研究成果報告)

概要

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妊娠15日のSD系ラットにコーン油,あるいはPCB126を10,30または100μg/kgの用量で経口投与し,5,10,15,21,24日齢の雌出生子の卵巣におけるAhR,CYP1A1,inhibinαサブユニットおよびβA,βBサブユニット,aromatase,FSH受容体,LH受容体,c-kit,BMP-15,GDF-9の遺伝子発現量を定量した。残りの一部の動物は,膣開口日まで飼育して,初回排卵数を測定した。その結果,卵巣重量は30μg/kg以上で,初回排卵数は,100μg/kgで対照群と比較して,有意な減少が認められた。CYP1A1は,暴露動物において5日齢で既に有意な増加が認められ,その後次第に減少した。inhibinβA,βBサブユニット,aromataseおよびLH受容体の遺伝子発現量は,30または100μg/kg動物で10日齢以降に,またinhibinαの遺伝子は5日齢から,同日齢の対照と比べて有意な低値を示した。一方,GDF-9,BMP-15の各遺伝子は,15日齢以降の100μg/kg群で発現量は高値であった。本実験の結果から,PCB126の暴露が幼若期卵巣における卵胞を構成する体細胞に発現する遺伝子の発現量を減少させること,また,発育開始後の卵胞がPCB暴露の標的となっていることが示唆された。また,24日齢のSD系雌ラットにコーン油,または160,320μg/kgのPCB126を経口投与し,投与後24時間にPMSG 5IUを皮下投与して,その約76時間後に排卵を検査した。一部の動物はPCB126投与時(0h),6h,24h(PMSG投与時),72hに解剖した。肝臓及び胸腺の重量は,それぞれ24h,72hから対照群と比較して有意に減少し,卵巣には6hをピークとしてCYP1A1 mRNAの増加が認められことから,PCB126はPMSG投与前から卵巣に影響を及ぼしていることが明らかとなった。また,卵巣におけるinhibinα,aromataseならびにFSH及びLHの各受容体mRNAsの発現量,卵巣重量,および排卵にはPCB126の影響が認められなかった。以上から,PCB126暴露時期および暴露期間が卵巣に及ぼす影響の有無に重要で,この時期の大型の胞状卵胞はPCBの標的ではないことが示唆された。
麻布大学の論文

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