パネル討論「マルチメディアを斬る!」[10] マルチメディアを快適に使いこなすために
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概要
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情報機器の定義を「情報を表現し-伝達し-利用する道具」とするなら,その歴史はコンピュータ以前にさかのぼる.そしてこのような道具の歩みから,(1)時間・空間からの制約を解き放ち,(2)情報を広く共有する道具を獲得してきた歴史が浮かんでくる.コトバは音声メディアから文字メディアになって初めて,時間・空間の制約を逃れることができ,続いて印刷技術の登場によってマスの世界を実現した.文字メディアは文字文化を生み出す一方,情報生成の簡便さを失い,タイプライタの発明までこの状況は続いた.漢字文化圏はいまだにこの問題を引きずっている.その後,音声メディアは電話とテープレコーダの発明を待って時間・空間の制約から解かれ,ラジオによってマスの世界を得た.また映像メディアでは,描画がコトバよりも古くから情報表現に利用されていたと考えられているが,写真,映画,そしてTVによって他のメディアと同等の世界を築いた.さて,現在はデジタルメディアの時代と呼ばれる.メディア表現をアナログ方式からデジタル方式に変えたことで,以下のような利点が生まれた.情報を蓄積・伝送する際に:(A)所望の粒度で欠落なく復元できる (B)全てのメディアを一元的に扱える 情報を加工・利用する際に:(C)デジタル・コンピュータで処理できる すなわちデジタルメディアになることで,マルチメディアを均質なビット・ストリームとして,コンピュータ上で統合的に扱えるようになった.現在は,冒頭に挙げた時間・空間の制約をなくし,情報メディアを広く共有するという方向をさらに押し進めるために,「マルチメディア分散オブジェクト環境」(図1参照)の枠組みが提案され,機器の標準化と高速大容量デジタルネットワークの整備が進められている.
- 社団法人電子情報通信学会の論文
- 1995-09-05
著者
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