イオンビーム法によるC_<60>-セラミックスヘテロナノ構造の形成

概要

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クラスターイオンビーム装置を用い、C_<60>とTiO_xそしてSiO_2セラミックスからなるヘテロナノ構造を形成する実験を行った。C_<60>分子の加速電圧500ボルトで、マイカ基板上にX線回折データとして最も結晶性の良いC_<60>分子結晶薄膜が形成された。それ以上の加速電圧では分子の劣化も生じた。そのC_<60>薄膜上に金属Agを蒸着形成させた場合、C_<60>分子結晶は劣化したが、酸化物セラミックスを反応蒸着させた場合には顕著な劣化はないことがわかった。これはTiO_xなどの酸化物の反応蒸着形成の場合、C_<60>分子結晶表面を酸素が覆っているので、その酸素がクッションとなりC_<60>の結晶劣化を軽減している可能性がある。3分子層以上のC_<60>を有する超格子はそのヘテロ構造においてC_<60>の本来の分子電子状態を維持している。しかしながら、1分子層のC_<60>を有するヘテロ構造においてはC_<60>の光吸収スペクトラムに変化があり、誘電率の比較的大きなセラミックスによりC_<60>分子電子状態が影響を受けたと考えられる。
社団法人電子情報通信学会の論文
1995-07-26