有機-無機ヘテロナノ構造
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概要
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従来の物質分類の枠組みの限界を越えた新物質の創製をめざして、有機-無機ヘテロナノシステムを研究している。今回は、ここ一年の真空薄膜技術による作製および物性研究の成果を報告するとともに、この新しい物質科学・工学を開拓していく上での思想について言及する。銅フタロシアニンの蒸着と酸化チタンや酸化シリコンの反応蒸着により、種々のヘテロナノ構造を作製し、透過電子顕微鏡などの方法により、その構造を調べた。これにより、蒸着法で形成したCuPc分子結晶上に、基板温度200℃で、これらのセラミックスを反応蒸着により形成しても、分子結晶の顕著な破壊はかならずしも、発生しないことがわかった。またヘテロ界面でのミキシング層の厚みは、1分子層程度であった。多層膜形成法を応用して、ナノサイズCuPc分子結晶をセラミックス中に分散させた、ヘテロ構造の形成に成功した。有機-無機ヘテロナノシステム(CuPc, TiO_x)における有機分子励起子のサイズ効果を確認できた。この現象は電子波動関数の広がりやすい無機物質と孤立しやすい分子を組み合わせることで、有機分子が潜在的に有している様々な機能を引き出し、かつナノサイズにより制御ができることを示唆している。
- 1994-06-20