文中の音韻長伸縮の自然性許容に対する発話速度の効果(聴覚・音声・言語とその障害)

概要

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合成音声の音胴長制御の自然性を評価する際の基準とするために,音韻長伸縮に対する許容度を文音声で調べている.これまでに文節頭音韻の伸縮の方が文節末音韻の伸縮よりも許容されにくいことがわかっている(文節内位置の効果),加藤らは音韻長伸縮に対する許容度低下は元の音韻長と相関がないことが報告した[Kato et al., J.Acoust.Soc. Am., 104, 540-549 (1998)],しかし,この先行研究では通常の発話速度で読み上げられてもののみを対象としており,発話速度が変動した場合については調査されていない.そこで本研究では,発話速度が変化した場合において,伸縮に対する許容度低下の度合を調査した.ターゲットの文節はアクセント0,1型の3モーラ文節で,キャリア文有りと無しの場合を用意した.これらをプロのナレーターが3段階(速い,普通,遅い)で読み上げた,被験者はこれらの文節の各母音に対して,時間的伸縮の許容度を評定した.その結果,文節頭あるいは文節中の音韻長変化は文節末のものより許容されにくいという傾向は,各速度でみられた.また発話速度が速いほど許容度低下の度合いが大きくなった.
社団法人電子情報通信学会の論文
2004-03-23