神経細胞のスパイク応答の距離空間解析 : 自発的活動状態の同定

概要

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神経細胞が,何らかの情報処理に関わっている状態と,それ以外の静的な状態,つまり自発的活動状態を区別することは,スパイク列の情報コーディング機構の解明にとって非常に重要である.本研究では,スパイク列間の発火タイミングの精度を捉える尺度をスパイク列間距離として定義した距離空間解析を用いて,これらの状態を区別する手法を提案する.提案法を用いて,神経細胞の入出力関係を記述したスパイキングニューロンモデルからの出力スパイク列を解析した.その結果,神経細胞は自発的活動状態であっても,ポアソン分布に従うランダムなスパイク列とは異なり,より時間統制されたスパイク列を出力していることが示された.また,暗さを検出するウシガエルの網膜神経節細胞のスパイク応答に対して提案法を適用した.その結果,この神経細胞は,ポアソン分布に従うスパイク列とはもちろん,自発的活動状態とは明らかに異なるパターンのスパイク列を出力しており,単なる暗さの検出だけでなく,多階調の輝度レベルや輝度の時間変化など,より多くの情報を中枢に伝えている可能性を示唆した.
2002-12-06